研究課題
昨年度末から本年度にかけての共同研究を通じ下記のような成果をあげることができた。1. 戦後中国という時代の全体像を鳥瞰する努力を積み重ねたこと: 合宿を交え前後17回に及んだ研究会の討論を通じ、またとくに科学研究費で購入した『中央日報』の社論講読会を通じて、“1945〜49年の中国"という時代情況の全体像が次第に明らかになってきた。これは当該時期に生起した様々な現象を総合的に考察するための基礎的な認識たるべきものであり、49年革命のたんなる前史としての戦後中国理解や、すべての問題を国共間の抗争に収斂させていく二項対立的な見方を克服する成果につながる、と期待される。そうした狙いを込め、99年3月末の学術シンポジウムは「戦後中国の再建と改革」と名づけられた。2. 戦後国民政府の諸政策に関する具体的な分析が進んだこと: 98年3月の春合宿の際の報告テーマ(「戦後国民政府の対外経済政策」、「内戦期の対日政策」等)、並びに99年3月末のシンポジウムの際の報告テーマ(「国民政府の土地行政と地域社会」、「国民政府による土地改革の実験」、「戦後の国民政府と内モンゴル」等)に見られるとおり、戦後国民政府がとった諸政策を具体的に分析する作業が進んだ。3. 欧米の新しい研究動向に対する理解を深めたこと: 日本のみならず欧米に於ける戦後中国史研究の進展にも著しいものがあるので、最新の研究動向を紹介した英文学術雑誌特集号に掲載された諸論稿を検討した。4. 若手研究者が育ってきたこと: 大学院生を中心とする若手の研究者に本研究計画への参加を呼びかけ、その研究活動を様々な形で援助した結果、修士学位取得論文などに注目すべき成果が生まれつつある。
すべて その他
すべて 文献書誌 (8件)