研究分担者 |
大西 智和 鹿児島大学, 法文学部, 助手 (70244217)
中村 直子 鹿児島大学, 法文学部, 助手 (00227919)
藤沢 敦 東北大学, 文学部, 助手 (00238560)
辻 秀人 東北学院大学, 文学部, 教授 (30244966)
西中川 駿 鹿児島大学, 農学部, 教授 (70041639)
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研究概要 |
東北地方の調査では,古墳・墳墓・出土遺物に重点をおいた。横穴墓は装飾横穴墓(福島県中田横穴・泉崎横穴・清戸迫横穴・羽山横穴)を中心に踏査した。終末期古墳である岩手県北上市猫谷古墳群は埋葬施設に横穴式石室の構造を取り込んでおり,鹿児島県長島明神古墳群や指江古墳群などと共通している。古墳文化縁辺部における変容の共通性として注目できる。福島県折返A遺跡をはじめとして東北地方の土師器成立期の資料を検討した。東北南部では南部九州と比べると非常に早い時期から転換している。畿内を中心とした周辺部という意味で東北と九州の比較は、土師器化の過程の面でも注目出来るモデルをたてることが十分できよう。九州地方では九州北部及び東部の古墳、弥生時代から古墳時代移行期の集落出土資料の調査を実施した。古墳時代の土器様式の併行関係を中心に,九州内各地域の土師器化の様相の比較を行った。福岡平野を中心とする北部九州では庄内式併行期,大分平野・熊本平野では布留式期まで在地の弥生式土器が残り,宮崎・南九州では古墳時代を通じて弥生土器の伝統を引く泉や壺が残存する状況が整理できた。また,各地域集落跡での土師器化は拠点的で,地域ごとに核となる遺跡が存在していることがわかった。古墳時代の九州各地域における古墳や墳墓の状況をまとめた。東北地方では,中期のある時期に大型前方後円墳の築造が見られないのに対し,九州では,この時期に大型前方後円墳の築造がむしろ増加するという状況が指摘できる。初期群集墳の比較では,古墳時代の中期に東北地方と九州地方の両地域に見られ,各古墳群が分布する密度にも共通性が見られた。両地域で同様な社会状況に至っていたことを推定できる。8月は本土最北端の前方後円墳である角塚古墳(岩手県水沢市)の発掘調査現場で観察検討を行い、同地で宮城県・岩手県内の研究者も加わり研究会を、12月は鹿児島大学で研究会を行い、研究発表を行った。
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