本研究は、遺跡調査における集落分析項目について再検討し、考古学研究の新展開を目指そうとするものである。考古学の分析方法と民族(民俗)調査のそれとの違いを比較し、従来の考古学研究でもれていて、しかも重要な調査項目を追加するには、本研究のような数々の試行錯誤を経る必要がある。 本研究では、昨年に引き続き、本年度は以下の調査を実施した。 (1)岩手県浄法寺町、一戸町、安代町、青森県田子町等での漆技術で結ばれた地域社会の構造と集落単位の生活調査。(9月) (2)岐阜県宮川村における山村生活の技術と集落構造の記録調査。(3月) (3)兵庫県竹野町における集落の水利用に関する調査。(6月) また、昨年の調査の年次報告として、以下を刊行した。 (1)『人類誌集報1999』(280頁)の冊子を刊行した。(9月) こうした調査研究とそれに必要な文献を購入した結果、科学研究費のすべてを使用したので、遺跡研究として岩手県一戸町で実施した住居復元調査には大学の研究費等をあてて実施した。 本年度調査内容の研究成果は平成12年度に『人類誌集報2000』にまとめる予定である。
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