国文学研究支援用デジタルライブラリの一部分であるイメージデータベータベースと連動し、歪みが大きく、点などが欠落することの多い古典原本の文字を識別するためのOCR(光学的文字認識装置)を開発する。 平成10年度は、データの作成、文字種の識別プログラムの開発、および漢字属性情報の整理等を中心に行った。 1) 昨年度に引き続き、文字識別についての研究事例を文献および海外レビューに基づいて検討した。 2) 昨年度に引き続き、イメージ処理のツールプログラムをライブラリ化した。 3) 研究対象とする画像データを作成した。対象として、同じ内容について多くの版のある資料を選んだ。これにより、認識のための属性辞書の作成が容易になることが期待される。 4) 意味的な文字認識を考慮し、漢字の属性辞書に意味的な情報の付加を試みた。追加される属性情報としては、ヨミ、関連する異体字との関連、出典などを取り込んだ。 5) 統計的手法(KL展開法)に基づき、少ないサンプによる学習から、漢字、仮名、カナといった文字種の識別ができるプログラムを開発した。
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