研究課題/領域番号 |
09410123
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
独語・独文学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
臼井 隆一郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90092668)
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研究分担者 |
川中子 義勝 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60145274)
宮下 志朗 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90138610)
鍛治 哲郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30135818)
青木 誠之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (20011356)
湯浅 博雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30130842)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | ドイツ・ロマン主義 / ナショナリズム / 神話学 / 民族学 / 象徴主義 / マルクス / ソシュール / ヴィルヘルム・シュレーゲル |
研究概要 |
本研究の立てた課題は、ドイツ・ロマン主義という文字通りの生粋ドイツ的に見える精神運動がその内実においていかに一国民国家と一言語の枠を超えた領域に広がる超域的な運動であったかを、今日のポストナショナルな時代に即応した形で考えることであった.例えば東欧諸国の民族主義運動に与えたドイツ・ロマン主義の政治思想、日本の民族学の成立に対するドイツ・ロマン主義の影響、あるいはドイツ・ロマン主義の神話学がフランス象徴主義に与えた甚大な影響など、予期した広がりは十分獲得できたと考えている。しかし空間的地域的限定を越えることだけがドイツ・ロマン主義の唯一の特質なのではない。学際性や知的越境といった、学問領域としての「超域性」もまたドイツ・ロマン主義の特質である。本研究が意識的に行ったのは、文学作品に研究対象に絞らずにむしろ一見文学とも哲学思想とも関係のなさそうな領域での言語現象の分析(言語態分析)を通してであった。例えばマルクスの『資本論』におけるロマン主義的神話的表象の活用や、クライストにおける批判的大学経営思想、アーリア・ゲルマン民族原郷問題というディスクールの創始者でフェルディナン・ド・ソシュールの言語学上での師でもあるアドルフ・ピクテとロマン主義の関係などである。ドイツ・ロマン主義の空間的・学問的超域性と密接に絡んだ問題群は、イエーナやベルリンといった近代の大学制度の起点を形成したドイツ・ロマン主義の側面であった。研究分担者の多くはドイツのヘーリッシュやキットラーフランスのラクー・ラバルト、アメリカのバーティといった多様な論客の参加を得て開催された二つの国際的シンポジウム『ロマン主義コロキウム』(1998年3月)、東京大学国際シンポジウム『知の総合。ドイツ・ロマン主義のディスクール』(1998年9月)を企画・立案し、本研究の掲げた課題を個々の事例において追求した。
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