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1998 年度 実績報告書

ヒッタイト法律文書の歴史言語学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 09410125
研究機関京都産業大学

研究代表者

大城 光正  京都産業大学, 外国語学部, 教授 (40122379)

研究分担者 河崎 靖  京都大学, 総合人間学部, 助教授 (40186086)
キーワードヒッタイト語 / 粘土板 / 法律文書 / 印欧祖語 / アナトリア祖語 / 破擦化 / 無声化
研究概要

ヒッタイト語粘土板資料のなかでも言語学的観点からみてもっとも重要なヒッタイト法律文書には、u-e-mi-zi「彼は見つける」KBoVI2IV12、i-e-zi「彼は行う」KBoVI2I60というシングルのzを持つ形式が記録されている。これらの形式は、アナトリア祖語の段階で^*-diという語尾を持っていたと考えられる。この^*-diは、前ヒッタイト語の段階で、^*-tiという語尾が破擦化を蒙って^*-tsiになったのと同様に、やはり破擦化して^*-dsiになった。これと類似した破擦化がアナトリア祖語の段階にも生じたことが、今年度の研究によって明らかになった。
ヒッタイト語sarazziia-「上の」、リュキア語hrzze/i(<^*-tio-)などの例から、印欧祖語の^*tがアナトリア祖語の時期に^*iの前で^*tsになったことは間違いがない。これと同様に、印欧祖語の^*dも^*iの前で^*dzになったと考えられる。この破擦化の根拠となるのは、ヒッタイト語のsiuna「神」<^*dieu-(cf.ギリシア語Ζευζ、サンスクリット語dyauh)という形式である。^*iの前で^*dからつくられた^*dzは語頭で閉鎖性を失い^*zになった後、一般的な語頭の無声化によって、さらに^*s-になった。同様の破擦化と閉鎖性の消失と語頭の無声化は、ヒッタイト語のsiuatt「日」<^*diuot-(cf.楔形文字ルウィ語^dtiwaz「太陽神」)にもみられ、この場合は前ヒッタイト語の時期に^*iの前で生じた。
以上の分析から、印欧祖語の^*tと^*dはともに、アナトリア祖語の段階で^*iの前で破擦化を受け、また前ヒッタイト語の段階で^*iの前で破擦化を受けた点で、まったく並行的な変化を蒙ったと考えられる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Terumasa Oshiro: "Hieroglyphic Luwian tuwati and u (n) zati" Memorial offerings for Charles Carter in Anatolian and other Asian Minor Languages,Leuven. (印刷中). (1999)

  • [文献書誌] 大城光正: "地中海東部の古代の象形文字" Mare Nostrum. 10号. 1-10 (1998)

  • [文献書誌] 大城光正: "ヒッタイト語Kapru-の意味について" ニダバ(西日本言語学会誌). 28号. 188-190 (1998)

  • [文献書誌] 河崎 靖: "古低フランク語文法の記述に向けて" ドイツ文学研究(京都大学総合人間学部). 43号. 1-23 (1998)

  • [文献書誌] 河崎 靖: "Graphienvarianz und Vernersches Gesetz" 阪神ドイツ語学研究会会報. 10号. 27-34 (1998)

  • [文献書誌] 河崎 靖: "Deutsche Dialektologie in Japan" 日独語対照言語学研究論集. 67-77 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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