研究課題/領域番号 |
09430001
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研究機関 | 国士館大学 |
研究代表者 |
山口 重克 国士舘大学, 政経学部, 教授 (10012139)
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研究分担者 |
李 捷生 大阪市立大学, 経済研究所, 助教授 (50255634)
横内 正雄 法政大学, 経営学部, 教授 (20166870)
菅原 陽心 新潟大学, 経済学部, 教授 (50171129)
河村 哲二 武蔵大学, 経済学部, 教授 (20147010)
加藤 國彦 和歌山大学, 経済学部, 教授 (00233784)
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キーワード | アジア経済 / 市場経済 / 社会主義市場経済 / 共同体 / 中国経済 / 商品交換経済 / 制度 / 国家 |
研究概要 |
今年度の研究は、各人がそれぞれの役割分担に基づいて研究を進める一方で、全体研究会を通じてアジアにおける市場経済化に関連して、諸説を批判的に検討しながら共通理解を形成するように試みた。 まず、全体研究会では、アジアの市場経済化に関連して、比較制度分析によるアジア経済論を批判的に検討した。比較制度分析は制度学派の流れを汲むものであり、主流派の新古典派経済学とは市場経済の理解が異なる。新古典派が市場経済を万能なものとして捉え、国家の役割を排除する市場原理主義的な傾向を持つのに対し、比較制度分析では、民間部門のコーディネーションを促進する国家の役割を認める市場拡張的見解を打ち出している。全体研究会では、この見解を取り上げ、アジア経済の分析にとっての有効性について議論した。制度の役割を重要視する点ではここでの認識に近いものがあり、アジア経済の分析に関しても新古典派経済学よりも有効性が高いと考えられるが、新古典派経済学的な効率性基準を脱し切れていない点に限界があるように思われた。 昨年度に引き続き中国の市場経済化に関連して、現地専門家との意見交換を行った。まず、メンバーが中国北京を訪れ、国家計画委員会経済研究所副所長の胡春力氏から市場経済化と国家の役割や国有企業の民営化に関してレビューを受け、さらに中国社会科学院経済研究所で朱紹文日本市場経済研究センター理事長等と社会主義市場経済の理論等に関して意見交換を行った。総じて中国における市場経済の進展は、新古典派経済学の浸透をその背景としてもっている。そのため、一方において効率性が重視され、旧来からアジア経済に存在した共同体がもつ公平性の原則が軽視されているようである。社会主義市場経済の理論は、この公平性を市場経済の中にいかに取り込むかということになると思われる。
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