研究課題/領域番号 |
09430006
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
上井 喜彦 埼玉大学, 経済学部, 教授 (90134329)
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研究分担者 |
植田 浩史 大阪市立大学, 経済研究所, 助教授 (10213357)
浅生 卯一 弘前大学, 人文学部, 助教授 (70281912)
遠藤 公嗣 明治大学, 経営学部, 教授 (20143521)
金子 勝 法政大学, 経済学部, 教授 (20134637)
野村 正實 東北大学, 経済学部, 教授 (20112138)
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キーワード | ゲーム理論 / 「知的熟練」 / 人事査定 / 春闘 / メインバンク / 下請制度 / 全部雇用 / ジェンダー |
研究概要 |
今年度は、本研究をスタートさせるに当たり、「(1)一方で、青木・小池理論をはじめとする主流的研究の理論および実証の問題点を整理するとともに、(2)他方で、研究領域および理論との関わりの両面から我々自身の研究の方法的反省を加える」ことを課題として研究を積み重ねてきた。その結果、(1)主流的研究においては、日本企業の労働関係、企業間関係のいずれにおいても「様式化された事実の恣意的設定」が行われていること、そして、そうした事実に内部労働市場論や水平的情報ネットワーク論・ゲーム理論が恣意的に適用され、職場集団の「自律性」やサプライヤ・システムにおけるサプライヤ側の「自立性」を強調する日本企業像が作り上げられている、という認識に到達した。こうした主流的研究の理論的批判としては既に金子勝が著書を刊行し、実証的批判としては遠藤公嗣が人事査定制度の比較研究を公表している。他方、(2)我々自身の研究の方法的反省については、未だ共通認識が形成されているわけではないが、一つの研究成果として、野村正實が既発表の「『労働問題』研究から批判的労働研究へ」(『大原社会問題研究所雑誌』428号、1994年7月)の視点を一段と広げ、バブル経済破綻後の構造変化を射程に入れた労働市場に関する著作を準備している。次年度は、日本企業における熟練と改善、査定制度、企業金融と株式会社機構、労使交渉、下請制度、行政改革・規制緩和、労働市場環境およびジェンダー関係という個別領域毎に理論研究・実証研究をとりまとめ、主流派の日本企業論に対するトータルな批判を目指す計画である。
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