研究課題/領域番号 |
09430008
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
平野 泰朗 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (20165195)
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研究分担者 |
花田 昌宣 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (30271456)
豊田 謙二 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (60244802)
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キーワード | 産業的福祉 / 企業内福利厚生 / 社会政策 / 福祉国家 / 賃労働関係 / ライフコース |
研究概要 |
「産業的福祉と経済社会構造」というテーマのもとに研究を進めるにあたって、われわれは、次の2つの点に留意しながら研究を行った。1つは、今日のきわめて流動的な経済的動向をできるかぎり理論的に把握し、その成果を踏まえて、産業的福祉を経済社会構造の中で位置づけることである。もう1つは、産業的福祉を、経済的および社会的諸制度の相互補完関係において把握することである。 第一の課題は、花田の欧州統合分析において果たされている。これは、現在のリベラル型欧州統合は安定した成長体制を作りえず、欧州レベルでの再配分政策をともなった強調型統合に転換するシナリオを提示している。ヨーロッパにおける政策的福祉と産業的福祉の関係は、この文脈で考えられねばならない。 第二の課題は、平野の経済グローバル化と福祉国家の関係分析や豊田のドイツ環境政策環境において果たされている。前者は、日本を対象とし、第一の課題でもある経済グローバル化の福祉国家体制に与える影響を分析している。この場合、福祉国家の政策を企業における労使関係や福利厚生(産業的福祉)との関連の中で分析するという方法がとられている。そうすることによって、企業の対応と国家の福祉政策の関係が明確となる。この点、従来の福祉国家論になかった成果をもたらしている。後者は、ドイツにおける企業活動と国家の政策との関係を環境問題において紹介し、分析を加えている。最近のドイツの環境政策を企業活動との関連で考察した文献は少なく、貴重な実証研究であるとともに、国家と企業の制度的連関を考えるというわれわれのテーマに、よき情報を提供している。 この他、平野・花田の日本の産業的福祉に関する研究は、退職金・年金制度を中心に進行中である。
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