研究課題
基盤研究(B)
本研究(「明治期鉄道業の総合的研究」[基盤研究B])では、明治期における鉄道業は紡績業や鉱山業とともに企業勃興の一翼を担い産業革命の中心的な産業であったにもかかわらず、その全体像を示す体系的な研究が遅れているという反省のもとに、平成9年度及び10年度には1次資料の調査を精力的に進め、個別的に多くの研究成果を生み出してきた。資料調査に重点を置いたのは、できる限り1次資料にもとづいて産業史・経営史的な視点から明治期の鉄道史を再構成したいという意志を強くもっていたからである。その結果、北海道鉄道・関西鉄道及び北越鉄道などに関する貴重な経営資料が発掘された。これは、今後の鉄道史研究の大きな財産となるであろう。また、本研究を進めていく中で、『鉄道時報』(八朔社)を復刻できたのも大きな成果であった。平成11年度には総括研究会を2度にわたって開催し、成果報告書をいかにまとめるかを議論した。その結果、明治期の鉄道業の全貌を明らかにするには、(1)政策、(2)経営、(3)金融、(4)地域社会をキーワードに考察する必要があるという結論に達し、第1偏「鉄道政策の展開」、第2編「鉄道の発達と経営」、第3偏「鉄道金融の展開」、第4編「鉄道の発達と地域社会」の4偏構成で成果報告書をまとめることにした。「技術」の問題が抜けているように思われるが、それは鉄道経営との関連で扱うことにし、第2編で議論されている。ただし、成果報告書をもってしても明治期鉄道業の全体像を示せたとは言えず、これを一応の総括としながらも引き続き研究を継続していくことにしたい。
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