乗用車とconsumer electronicsの上流に研究代表者と分担者の二人が同じ会社を同時に訪問して得た成果を以下に述べる。(1)乗用車については昨年度に引き続いてであったが、製品納入の1ヶ月前内示と確定発注(週次または旬次)の精度が実生産台数の95%と以上極めて高いこと、上流メーカーの生産期間の長さからやむを得ず内示で生産に入ったもののアセンブリーメーカーにおける生産台数が減少したときには補償がなされること。これに対して(2)consumer electronics(具体的には、パソコンと家庭用電気洗濯機)について、内示と確定発注の精度が乗用車ほどに高くはなく80%台の後半に止まっていること、このことがアセンブリーメーカーと上流メーカーの間の取引に影響して、アセンブリーメーカーが使った材料・部品分だけ支払の対象になるようにこの3年(平成5・6年度文部省科学研究費補助金を受けて二人が行った面接調査にはまだ上がって来ていなかった。)の間に変わっていたこと。さらには、consumer electronicsの上流は細かく複雑であるが引き続いて面接調査を重ねて手繰っていくことによって情報を基礎とした生産・流通の実態に迫れる確信を得たことである。訪問した会社は次のとおりである。乗用車系列:トップメーカーの第1次協力メーカー1社とそこへのサプライヤー2社、総合商社3社とうち1社の子会社であるコイルセンター、ABS樹脂メ-カ-1社。 Consumer electronics系列:大アセンブリーメーカー1社の本社とそのパソコンと家庭用電気洗濯機のそれぞれの工場、それぞれの工場へのサプライヤー計3社、ビデオカセットレコーダの大メーカー1社、綜合商社3社のほかに、昨年度の郵送調査「情報を基礎とした企業間投入・産出の研究」結果から得た情報に基づいて訪問した独立専門商社1社、液晶ガラスメーカー1社とプリント配線盤の架橋剤メーカー1社。
|