コ-ポレート・ガバナンスの国際比較研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09430024
• 研究機関: 一橋大学
• 研究代表者: 平田 光弘 一橋大学, イノベーション研究センター, 教授 (40017489)
• 研究分担者: 菊沢 研宗 防衛大学校, 社会科学教室, 助教授 ; 出見世 信之 亜細亜大学, 短期大学部, 助教授 (60248961) ; 植竹 晃久 慶応義塾大学, 商学部, 教授 (80051556) ; 吉森 賢 横浜国立大学, 経営学部, 教授 (20182834) ; 菊地 敏夫 日本大学, 経済学部, 教授 (20058895)
• キーワード: コ-ポレート・ガバナンス / 企業統治 / 説明責任(報告責任) / 株主主権 / 経営者主権

研究概要

本年度の研究計画の目標は、まず、経営学及び隣接諸学におけるコ-ポレート・ガバナンス研究を検討し、次いで5つのキ-・コンセプト(社会的存在としての企業、企業モデル、企業の社会的責任、企業支配及び株主主権・経営者主権)のコ-ポレート・ガバナンスにおける意味と役割を明らかにすることにあった。それらの研究実績を持ち寄って総括する作業がまだ残されているが、本研究参加者は、研究発表欄に列挙されているように、コ-ポレート・ガバナンス問題に各自の問題意識と関心を持って意欲的に取り組んできた。すなわち、平田は、1990年代の日中企業の統治問題に関する新しい動きを論じている。菊地は、欧米企業のコ-ポレート・ガバナンスの現状と課題、企業行動と政府規制、企業の社会的責任と効率化などを論じている。吉森は、欧州の企業経営の伝統と変革、ドイツにおける金融・非金融企業間の資本的・人的関係とコ-ポレート・ガバナンス、日本の株主総会の統治機能の回復策を論じている。植竹は、ドイツの金融機関のガバナンス問題を論じている。出見世は、説明責任(アカウンタビリティ)を切り口にしてコ-ポレート・ガバナンス問題を論じている。菊澤は、取引費用理論や所有権理論の立場から日本型企業組織や日本型企業関係の効率性と限界を論じている。松下は、日欧米の経済・経営システムの設計思想に立ち返って各国におけるコ-ポレート・ガバナンス論議の多様性を論じている。柳川は、日米比較の観点から日本型経営者主権の成立の可能性を論じている。最後に牧野は、日本企業のコ-ポレート・ガバナンス構造の今後を、米国企業のカバナンス構造の動向と比較しながら展開している。

研究成果

• [文献書誌] 平田光弘: "日中企業の統治問題:新しい動きをめぐって" 一橋大学イノベーション研究センター・ワーキングペ-パ-. 13号. 1-27 (1997)
• [文献書誌] 菊地 敏夫: "コ-ポレート・ガバナンス・欧米企業の現状と問題点:先進諸国間で異なる当面の課題" マネジメントトレンド(経営研究所発行). 2巻1号. 58-63 (1997)
• [文献書誌] 菊地敏夫: "企業行動と政府規制:自律的経営システムの条件の探究" 経営学論集(日本経営学会編). 67集. 121-128 (1997)
• [文献書誌] 菊地 敏夫: "監査役と監査機能の検討(特集・企業統治と監査役の役割)" 経営コンサルタント(経営政策研究所). 590号. 30-34 (1997)
• [文献書誌] 菊地 敏夫: "企業の社会責任と効率化" 日本大学経済学部産業経営研究所・所報. 41号. 58-68 (1997)
• [文献書誌] 菊地 敏夫: "民有化企業のパフォーマンスと経営管理" 産経経営研究(日本大学経済学部産業経営研究所). 20号. 1-9 (1998)
• [文献書誌] 吉森賢: "Changing Patterns of Japanese Management System:A Comparison with Germany." Occasional Paper,Freie Unibersitat Berlin. 118. 1-11 (1997)
• [文献書誌] 吉森賢: "株主総会に見る日本の企業統治:米欧に学ぶ是政策" 経理情報. 4-9 (1997)
• [文献書誌] 吉森賢: "ヨーロッパの企業経営:伝統と変革" 学術月報. 50巻9号. 29-36 (1997)
• [文献書誌] 吉森賢: "ドイツにおける銀行,保険会社,非金融企業間の資本的・人的関係と企業統治の有効性" 横浜経営. 18巻4号(予定). 1-26 (1998)
• [文献書誌] 植竹晃久: "高橋俊夫・大西健夫「ドイツ企業:経営組織と企業戦略」第5章「金融機関と企業」" 早稲田大学出版. 93-112 (1997)
• [文献書誌] 出見世信之: "経営におけるアカウンタビリティ" 企業会計. 49巻5号. 79-85 (1997)
• [文献書誌] 出見世信之: "コ-ポレート・ガバナンス問題に関する考察" 生活協同組合研究. 263号. 12-19 (1997)
• [文献書誌] 出見世信之: "企業と説明責任" 経営学紀要(亜細亜大学短期大学部). 6巻1号. 99-118 (1997)
• [文献書誌] 出見世信之: "企業倫理と企業統治" 経営学紀要(亜細亜大学短期大学部). 6巻2号. 39-64 (1998)
• [文献書誌] 菊澤研宗: "日米独企業間関係の取引コスト理論分析:日本型企業間関係の効率性と限界" 三田商学研究. 40巻3号. 107-126 (1997)
• [文献書誌] 菊澤研宗: "日米独企業組織の所有権理論分析:日本型組織の効率性と外部性" 日本経営学会誌 Journal of Business Management. 創刊号. 13-22 (1997)
• [文献書誌] 松下優: "多様なコ-ポレート・ガバナンス論議の謎" 日本経営学会第11回大会 報告要旨集. 126-130 (1997)
• [文献書誌] 松下優: "英国のコ-ポレート・ガバナンス論議とICIの「最善の行動規範」の遵守状況" 東京都立短期大学経営システム学科『研究論集』. 2号. 49-66 (1998)
• [文献書誌] 柳川高行: "日本型経営者主権の成立の可能性:コ-ポレート・ガバナンスの日米比較" 白鴎ビジネスレビュー. 6巻1号. 137-154 (1997)
• [文献書誌] 牧野 勝都: "コ-ポレート・ガバナンス構造の再構築:アメリカにおける動向を中心として" 日本経営学会第71回大会 報告要旨集. 121-125 (1997)
• [文献書誌] 工藤達男・佐久間信夫・出見世信之: "現代経営における企業理論" 学文社, 237 (1997)
• [文献書誌] 出見世信之: "企業統治問題の経営学的研究" 分眞堂, 214 (1997)