研究分担者 |
西山 享 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (70183085)
平井 武 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70025310)
澁川 陽一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90241299)
齋藤 睦 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70215565)
山田 裕史 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40192794)
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研究概要 |
実半単純リー群Gの表現論においては,無限次元既約表現が,さまざまな幾何構造,とくに,べき零軌道に関連して得られる興味深い誘導表現のなかに如何に現れるかを理解することが極めて重要な問題である.「既約表現の誘導加群への埋込み(模型)が,リーマン対称空間X=G/K上の勾配型不変微分作用素族が定める微分方程式系の誘導加群の関数空間における解により特徴づけられる」という原理(核型定理)に基づき,本課題研究(平成10年度分)では,四元数型単純リー群のBorel-de Siebenthal離散系列表現の模型理論の研究,および,より一般のHarish-Chandra加群に対する(特性サイクルにおける)重複度の考察を進め,以下に述べる成果および新知見を得た. (1)四元数型単純リー代数に対する階数づけ定理(Rubenthaler)を用いて,Borel-de Siebenthal離散系列表現を実現する勾配型微分作用素を,岩沢座標表示により具体的に記述した. (2)さらに,上で得られた微分方程式の主系列関数空間における解を特定することに成功し,Borel-de Siebenthal離散系列のn-ホモロジー空間を特定した(研究集会「べき零軌道とユニポテント表現」(平成10年12月,於北大)および日本数学会(平成11年3月,於学習院大)にてこの成果を口頭発表). (3)離散系列,ユニタリ最高ウェイト表現など,勾配型不変微分作用素の核空間に構成される既約Harish-Chandra加群の(特性サイクルにおける)重複度が,勾配型不変微分作用素の表象写像を用いて記述できることを明らかにした.さらに,ユニタリ最高ウェイト表現については,重複度と一般化されたWhittakerベクトルの空間の次元が一致することも示した. 各研究分担者は,多変数超幾何関数(齋藤),組合せ論的視点からの有限群の表現(山田・吉田),各種の双対対をとおしての表現の研究(平井・西山・山田),量子群や無限次元リー代数の表現(須藤・内藤・澁川)の研究を各自おし進めると同時に,これらの研究が深く関わる上記の研究(1)〜(3)の各過程で,セミナーや討論をとおして本研究に常時参加した.
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