偏極多様体の分類および構造

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09440008
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 藤田 隆夫 東京工業大学, 理学部, 教授 (40092324)
• 研究分担者: 中山 能力 東京工業大学, 理学部, 助手 (70272664) ; 小林 正典 東京工業大学, 理学部, 助手 (60234845) ; 水本 信一郎 東京工業大学, 理学部, 助教授 (90166033) ; 石井 志保子 東京工業大学, 理学部, 助教授 (60202933) ; 野口 潤次郎 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (20033920)
• キーワード: 偏極多様体 / 随伴線形系 / 小平エネルギー / adjoint fibration / 対数偏極多様体

研究概要

研究代表者藤田は、3次元非特異複素偏極多様体で、小平エネルギーが-1/2未満のものを分類し、そのadjoint fibrationの構造を詳しく調べた。結果的にはこの範囲ではsecond reductionと同様のモデル上にfibrationが得られることがわかった。また、大学院生川内(指導教官:藤田)は、正規偏極曲面の随伴線形系のbase pointについて、Reider型のいくつかの結果を得たが、代表者はその手法が境界のある対数偏極曲面上でも有効であることを指摘した。分担者野口は、高次元Nevanlinna理論、複素双曲的多様体の研究を行い、双曲的射影超曲面の存在を示し、更にその関数体上の有理点集合及び代数体の単元点集合の有限性を証明した。分担者石井は、ある種の特異点の標準モデルがweighted blowupで得られるための十分条件を求め、また非退化な超曲面特異点がminimal model,canonical model,log-canonical modelを持つことを証明した。また、正規曲面特異点の不変量-K^2がどのような値をとり得るかを調べ、その集合が上からの集積点をもたないこと、下からの集積点はすべて有理数になること、など小平エネルギーのとり得る値の集合と良く似た性質を持つことを示した。分担者水本は正則保型形式の空間から、志村の意味の概正則保型形式の空間にHecke環の作用を保つEisenstein liftingが存在することを示した。分担者小林は実代数多様体がblowing upによってどのように変わるかを、とくに実平面のembedded curveの場合に詳しく調べた。また、トーリック超曲面の特異点解消を考えることにより、適当な楕円ファイバー構造を持つCalabi-Yau 3-foldで実点集合がSUSY 3-torusになるような例を具体的に構成するのに成功した。分担者中山は、対数構造上のエタルコホモロジー論の墓礎付けを行ない、古典的諸定理を対数構造上に拡張した。さらにそれを応用して、一般半安定族の場合をもふくむ退化した族に対してnearby cycleの様子を調べた。

研究成果

• [文献書誌] T.Fujita: "On Kodaira energy and adjoint reduction of polarized three fdds" manus cripta math. 94. 211-229 (1997)
• [文献書誌] T.Fujita: "An appendix to Kawachi-Masek's paper on gbbal generation of adjoint bundles on normal surfaces" Journal of Algebraic Geometry. (予定). (1998)
• [文献書誌] J.Noguchi: "Nevanlinna-Cartan theory over function fields and a Diophantine equation" J.reine angew. Math.487. 61-83 (1997)
• [文献書誌] S.Ishii: "The weighted blowing ups of singularties with x=0" Studies in Adv.Math.5. 75-82 (1997)
• [文献書誌] S.Ishii: "Minimal,canonical and log-canonical models of hypersur foce singulanties" Contemporary Math.207. 63-77 (1997)
• [文献書誌] Hao Chen and S.Ishii: "On -K^2 for normal surface singularities" Int.J.Math.(予定).
• [文献書誌] S.Mizumoto: "Nearly holomorphic Eisenscein litings" Abh.Math.Sem.Univ.Hamburg. 67. 173-194 (1997)
• [文献書誌] M.Kobayashi: "On blow-analytic equiralence of embedded curve singularities" Pitman Research Notes in Math. (Real analytic and algebraic singularities). 381. 30-37 (1997)
• [文献書誌] M.Kobayashi: "A special Lagrungian 3-torus as a real slice" Proc.of Taniguchi Symp. (発表予定).
• [文献書誌] C.Nakayama: "Logarithmic etale cohomology" Math.Ann.308. 365-404 (1997)
• [文献書誌] C.Nakayama: "Nearby.cycles for log smooth families" Compositio Math.(発表予定).
• [文献書誌] J.Noguchi: "Introduction to Complex Analysis" Amer.Math.Soc., 250 (1997)