研究分担者 |
桂田 昌紀 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (90224485)
秋山 茂樹 新潟大学, 理学部, 助教授 (60212445)
木内 功 山口大学, 理学部, 助教授 (30271076)
谷川 好男 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (50109261)
北岡 良之 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (40022686)
|
研究概要 |
本年度に得られた成果の主たる部分は,ゼータ関数の平均値定理について一段と深い理解がなされたことであろう。そのひとつは Hurwitzゼータ関数の、パラメータに関する2乗平均値の詳細な漸近展開式の照明であり、1950年代(Koksma,Lekkerkerkerら)以来の問題にひとつの結着をつけたものである。また類似の方法で、Barnes の二重ゼータ関数,二重ガンマ関数についての新しい漸近展開も得られ,Heckeの実2次体のL関数のs=1での値の研究に応用された。また約数問題の残余項Δ(x)とそのアナロジーΔa(x)に対してもその平均値の研究がすすみ,Lau-Tsangの公式の積分形アナロジーの証明,また短い区間におけるJutila型の平均値定理の指数付きの場合への拡張が得られた。この後者はさらに極く最近、柳沢直樹氏によるChowla-Walumの公式に基づく新しい方法が既に開発され,本研究の一部の分担者により柳沢理論と融合させた新研究が既に開始されている。これは次年度にまとめることになるであろう。一方、1996年に田村純一氏が導入したいわゆる田村の無限積や,Pisot数についても新しい分析が進められた。この方向は,Thurstonのタイリングやフラクタル図形との関連も見出され,さらなる展開が期待できる。こうした方向では,整数論的性質に深く根ざした,複雑なアルゴリズムの分析が必要であるが、本研究においてそうした分析に対して新知見が得られている。さらにゼータ関数を係数にもつある種の級数に関する,Mellin-Barnes型の積分を応用した漸近挙動の解明も行った。
|