研究分担者 |
柳川 浩二 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40283006)
磯崎 洋 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90111913)
鈴木 貴 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40114516)
宮西 正宜 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80025311)
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研究概要 |
凸多面体の理論は,単体的複体及び有限半順序集合の理論などとともに,伝統的な組合せ理論において組織的な研究が継承されているが,同時に,凸多面体は,計算幾何,整数計画などを含む応用数学の諸分野においても重要な研究対象であり,現代数学に現れる離散的な現象の研究を多角的に推進させ,純粋数学と応用数学を結び付ける役割をも担う画期的な道具である.当該基盤研究の平成9年度における研究成果を列挙すると,第1点として,Alexander双対定理などを含む位相幾何の理論を使い,巡回凸多面体,堆積凸多面体の境界複体に付随する単項式イデアルの極小自由分解に現れるベッチ数列を計算するための効果的な公式を探し,それらが単峰数列であることを示したことである.第2点として,準安定イデアルについて,そのKoszulホモロジーを計算する技巧を開発し,極小自由分解の境界写像を具体的に記述したことである.第3点として,多項式環における斉次イデアルのHilbert函数についての著しい結果であるGotzmann永続定理と正則定理の類似を外積代数において樹立するとともに,単体的複体の面の個数,いわゆるf-列についての組合せ論的な特徴付けを与えるKruskal-Katona定理を代数的に解釈し,外積代数における斉次イデアルの極小自由分解に現れるベッチ数列の理論の範疇でKruskal-Katona定理を精密化することに成功したことである.他方,整数計画問題と関連して,正則単模三角形分割は持たないが単模三角形分割を持つ整凸多面体の例を探すことが計算幾何における永年かつ懸案の問題であったが,我々は有限グラフに付随する辺凸多面体の代数的諸性質を詳細に解析することで,然る凸多面体の例を(0,1)-凸多面体で構成することに成功した.これが当該基盤研究の平成9年度における第4の,そして最も特筆すべき研究成果である.
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