研究課題/領域番号 |
09440023
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中屋敷 厚 九州大学, 大学院・数理学研究科, 助教授 (10237456)
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研究分担者 |
渡辺 文彦 九州大学, 大学院・数理学研究科, 助手 (20274433)
佐藤 栄一 九州大学, 大学院・数理学研究科, 教授 (10112278)
趙 康治 九州大学, 大学院・数理学研究科, 助教授 (10197634)
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キーワード | 可積分場の量子論 / 形状因子 / qクニズニク-ザモロジコフ方程式 / 量子群 / 積分解 / レベル零 / 相関関数 / 頂点作用素 |
研究概要 |
2次元可積分場の量子論の模型の、形状因子の性質を主に研究した。形状因子とは、場の作用素のある特別な行列要素のことである。一般の行列要素は、形状因子から決定される。理論の中に含まれる局所可換性の条件を満たす作用素(局所場)をすべて決定すること、局所場の相関関数を決定することが重真な問題としてある。 スミルノフは、局所可換性を形状因子の言葉で公理化した。この公理から、サインゴルドン模型などの基本的な模型の形状因子はレベル零のqクニズニク-ザモロジコフ(qKZ)方程式を満たすことが従う。従ってレベル零qKZ方程式の解の構造を調べることが基本的重要性を持つ。 スミルノフはSU(2)不変チリング模型の形状因子の積分表示を導いている。その形状因子をパラメトライズするデータは十分たくさんあり、理論のすべての局所場を記述していると予想されている。この完全性の問題を厳密に示すには、たとえば適当な指標を導入して共形場理論の局所作用素の空間と比較することが考えられる。このために形状因子を表現論的に構成し、スミルノフの結果と比較することが望ましい。形状因子の表現論的構成は、今の場合適当な量子群の頂点作用素のトレースの積分表示と言う形で、ハロシュキンその他の人々によりなされている。この積分表示はスミルノフの積分表示とは見かけ上異なっており、2種類の積分表示の関係を決定することが問題となる。 レベル零KZ方程式の積分解には、上記2つの他にタラソフ-バルチェンコによるものが存在する。我々はスミルノフの積分解とタランソ-バルチェンコの積分解との関係を完全に明らかにし、その結果を用いてスミルノフの積分解とトレースの積分表示の関係を簡単な場合に具体的に与えた。より一般的な場合の関係を明らかにするには、表現論的な考察が不可欠でありこれからの研究課題である。
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