研究分担者 |
加藤 崇雄 山口大学, 理学部, 教授 (10016157)
小宮 克弘 山口大学, 理学部, 教授 (00034744)
井上 透 山口大学, 理学部, 教授 (00034728)
中内 伸光 山口大学, 理学部, 助教授 (50180237)
志磨 裕彦 山口大学, 理学部, 教授 (70028182)
|
研究概要 |
本研究の目的は,R.HarveyとH.B.LawsonによってCalibrationの幾何を展開する過程で導入されたグラスマン幾何の枠組を用いた,コンパクト単連結リーマン対称空間の部分多様体論の統合的かつ総合的な考察である.主なテーマは,軌道型グラスマン幾何の存在・非存在の解明,軌道型グラスマン幾何の分類問題,及び対称空間の部分多様体論への幾何学的応用である.本研究では,これら3つのテーマに関して既に断片的に得られていた成果を統合することによって,対称空間の部分多様体論における本研究の位置付けが明白になったこと及び本研究を総合化する過程で蓄積されたアイディアがこの分野の今後の研究においても非常に有益であるとの予見を得たことが最も大きな成果である.各テーマ毎の知見等は次のとおりである. 1. 軌道型グラスマン幾何の存在・非存在について:一般の軌道型グラスマン幾何の存在・非存在問題が,あるLie群上の非線型1階偏微分方程式系の局所解の存在問題に同値であることが分かり,その幾何に属する部分多様体の幾何学的基本量と解の性質との関連が解明された.合わせて,曲線のグラスマン幾何,超曲面のグラスマン幾何及び強曲率不変型グラスマン幾何において完全な解決を得た. 2. 軌道型グラスマン幾何の分類問題について:本分類問題において重要な位置を占めるものに全測地型グラスマン幾何の分類問題がある.とりわけその中の強曲率不変型については,Dynkin図形のような有限図形を用いた分類が,本研究において完成した.同時に,強曲率不変型でない場合にもアイディアが有効であるとの予見を得た. 3. グラスマン幾何の幾何学的応用について:応用として得られる「対称部分多様体の分類」及びグラスマン幾何における「Gauss写像の概念の確立」が対称空間の部分多様体論においても,重要な位置付けにあるとの予見を得た.
|