研究課題
μを形式変数としてではなく、正の定数として扱われる変形量子化の理論では一般に結合律が破れるという現象が起こる。この現象について代表者は5月湘南国際会議場での国際会議、、及び9月DijonでのM.Flato教授追悼symposiumに於て報告を行った.いまの所この現象に気が付いている人は少なく、単に困った現象と受け取られているのだが、これが起こる仕組みは今年度の研究でかなりはっきりしてきた。つまり、2次式以下の指数関数を扱っている限りではこの現象は起きないが、2次式の指数関数の線形結合を考えたときに初めて出現するものである。しかも、これは逆元の取り扱いに関係して起きるもので、同一の元に2種類の逆元が存在するという現象と関わっていることがはっきりしてきた。逆元の存在は「そこは何も存在しないところ」と受け取られているので、このことは、点集合論、写像としての関数概念を基礎にして組み立てられてきた現代数学の根底に触れることで、上のような現象の解明をとうして、幾何学的実体とは何であるのかという問題を提起すると思われる。誤解を防ぐためにこれらの結果の発表にはかなり気を遣わなければならないが、共同研究者との討論を通じて精密なものにしあげて、発表する予定である。
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