研究分担者 |
宇敷 重広 京都大学, 大学院・人間環境学研究科, 教授 (10093197)
岡 宏枝 (國府 宏枝) 龍谷大学, 理工学部, 教授 (20215221)
伊藤 敏和 龍谷大学, 経済学部, 教授 (60110178)
新居 俊作 埼玉大学, 理学部, 助手 (50282421)
松岡 隆 鳴門教育大学, 学校教育学部, 助教授 (50127297)
|
研究概要 |
本研究では力学系(主に多様体上の写像の反復合成,またはベクトル場で与えられるもの)における種々の問題を位相的な手法を用いて研究し,以下のような成果を得た:1.2変数多項式系に対するNewton法の定める複素力学系,特にその周期的不定点の周りの力学系から不変多様体のCantor集合族を構成することによりその幾何学的構造を明らかにした. 2.Conley indexと呼ばれる位相的な指標を用い,ホモクリニック軌道やそれと類似のヘテロクリニック軌道と呼ばれる大域的な軌道が引き起こす力学系の大域的構造の変化を記述するtransition matrixとよばれるものの公理的定義を与え,またそれをパラメータ次元が高い場合に拡張した. 3.2次元写像の周期点集合の位相的構造を組み紐不変量と不動点指数を用いて明らかにし,それらを周期点の個数の評価や安定性と関係付けることができた. 4.進行波の分岐構造を安定性に対する位相的指数により記述し,分岐構造の情報から,それによって発生する進行波の安定性を与える方法を得た. 5.曲面同相写像の標準形を構成するためのグラフによる変形アルゴリズムを従来のものから改良した.また,expanding immersionを許すbranched surfaceの位相について調べた. 6.Ruelle の transfer作用素を用いた複素力学系の新しい研究方法を開拓した. 7.正則ベクトル場のPoincare-Bendixson型定理の応用について調べた. これらの結果は力学系に対する位相的方法の有効性をよく表しており,このようなアプローチの重要性は今後もますます高まると思われる.
|