研究分担者 |
中野 史彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10291246)
飯田 雅人 岩手大学, 人文社会科学部, 講師 (00242264)
長澤 牡之 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70202223)
西浦 廉政 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (00131277)
増田 久弥 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10090523)
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研究概要 |
1.研究代表者は,活性因子-抑制因子型の反応拡散方程式系の点凝集定常解の安定性を研究し,空間次元が1,抑制因子の拡散係数が無限大の場合の極限方程式系について次の結果を得た:(1)抑制因子の反応時定数の臨界値があり,時定数が臨界値よりも小さいとき区間の端点に分布が集中するような単調定常解は安定で,時定数が臨界値よりも大きいとき,そのような定常解は不安定である.(2)この臨界値の近傍で区間の端点に分布が集中した定常解から周期解が分岐する. 2.西浦は,散逸系における微細構造の解析を特異摂動法を駆使して行った.とりわけ,共重合ポリマー系,チューリング系と呼ばれる反応拡散系における安定な定常解の全体は非常に多数の微細構造をもつものから成ることを明らかにし,同時にスケール則を有することも示した.さらに,自己複製パターンを遷移ダイナミクスと位置付け大域分岐論の立場から研究し,多数の定常的または振動的パルス解の鞍点一結節点分岐の階層構造がその本質であることをつきとめた.これは遷移過程のダイナミクスを理解する上で重要な知見であり,より複雑なカオス的遍歴等の遷移現象を解明する場合にも有用となろう.飯田は,小さくかつ非一様な拡散係数をもつアレンーカーン方程式の解の内部遷移層が漸近的には2相界面の運動に従うことを正当化した.この界面は,その平均曲率が小さくなるように,また,媒質の拡散係数の勾配に逆らって,移動する.さらに,定常界面の安定性を吟味することにより,非一様な拡散係数をもつアレンーカーン方程式の全空間における非一様な定常解で安定なものを構成した. 3.また,スペクトル解析を担当した中野は低電子濃度での最低固有状態の性質を詳しく調べ,長澤は双曲型ギンツブルグ・ランダウ方程式について変分構造の観点から数値的に研究した.
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