研究分担者 |
小林 俊行 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (80201490)
松本 久義 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (50272597)
織田 孝幸 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (10109415)
落合 啓之 九州大学, 大学院・数理学研究科, 助教授 (90214163)
寺田 至 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (70180081)
|
研究概要 |
半単純リー群の表現は,一般旗多様体や種々の等質空間上の関数の空間に実現されるが,興味ある特異表現の場合は,多くの微分方程式を満たし,その方程式で表現が特徴づけられることが多い.既約表現の包絡環における零化イデアルは原始イデアルと呼ばれ,それがこの方程式の代表的なものであるが,特異な表現の場合はその具体型がこれまで余り知られていなかった.平成10年度に研究した放物型部分群の1次元表現から誘導することによって得られる退化系列表現の零化イデアルが,この原始イデアルと関係し,特に素なものがこのような方法で得られることが分かった. 特に,A型の場合は,1次元表現や放物型部分群が任意の場合にすべてこの零化イデアルの具体的生成元を求めることに成功した.これは,行列の場合の単因子の理論を非可換化したものとみなすことができる.またこのようにして得られた方程式は,極大主系列表現と退化系列表現との違いを定義する方程式に一般にはなるが,1次元表現のパラメータが特別であると,それが破れる現象があることを発見した.この現象のさらなる解明と,A型以外への拡張は今後の課題である. 上記方程式は,対称空間の一般の境界からのPoisson変換の像を特徴づける方程式にもなることが示されるが,研究分担者の示野は,対称空間に複雑構造が入るとき,ある境界からのPoisson変換の像を特徴づける別の興味深い方程式を与えた.
|