研究課題/領域番号 |
09440051
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
鵜飼 正二 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (30047170)
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研究分担者 |
谷 温之 慶応義塾大学, 理工学部, 教授 (90118969)
牧野 哲 山口大学, 工学部, 教授 (00131376)
木内 博文 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助手 (00251611)
谷口 雅治 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 講師 (30260623)
高橋 渉 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助教授 (40016142)
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キーワード | 離散速度ボルツマン方程式 / 境界層理論 / 漸近理論 / 半空間定常問題 / 可解性条件 |
研究概要 |
Boltzmann-Grad極限とCauchy-Kowalewskaya定理 流体の運動方程式としては、古くから、有名な方程式が数多く知られている。流体の諸性質の如何なる側面に着目するかにより、様々な異なるタイプの方程式が得られるが、いずれも同一流体が対象であるので、これら方程式の間には何らかの漸近関係がある。この漸近解析においてもっとも基本的な間題のlつは、多粒子系に対するNewtonの運動方程式と気体方程式であるBoltzmann方程式との関係である。前者の解が、衝突確率一定の条件の下で粒子数を無限大にすると(標記の極限)、後者の解に収束することが、Lanford(1976)により示され、特に、前者の持つ時問可逆性から後者の持つ非可逆性が生じる数学的メカニズムが明らかにされいる。しかしLanfordの証明は非常に複雑で見通しが悪い。本研究では偏微分方程式論の基礎定理である標記の定理(の抽象化)を用いることにより、この証明が大幅に簡略化されることを示した。この方法は、重要な未解決問題である、Newton方程式から巨視的流体(Euler)方程式を直接導く漸近解析への応用が期待され、現在研究を進めている。第5回日韓偏微分方程式研究集会(平成10年2月、九州大字)において発表した。 相対論的Euler方程式の弱解の非相対論的極限 相対論的力学と古典(非相対論的)力学の物理的関係は良く知られているが、その数学的解析には未解決の問題が多い。本研究では、標記の方程式で、空間1次元の場合に、Glimmの方法で構成した時間大域的弱解に対し、光速度cによらない一様評価を導き、これを用いて、cを無限大にした極限において、非相対論的Euler方程式の弱解に収束することを証明した。弱解にもかかわらず、収束は時問大域的、かつ、強収束であるので、非常に強い結果といえる。J.Math.Kyoto Univ.に掲載予定である。
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