研究課題
1.所属機関における研究代表者真島、及び代表者所属機関の分担者は新規購入の電子計算機を補助的に使いながら、合流型超幾何微分方程式で定められるD-加群の射影分解の計算、・解複体のコホモロジー群の計算解の近似公式、の研究を推進してきた。特に、電子計算機が与えてくれたD-加群の射影分解からヒントを得て、結局はKoszul複体的な発想である一群D-加群の射影分解を一般的に与えるアルゴリズムを得た。部分的なことは、昨年12月に行われた京都大学数理解析研究所における研究集会「複素解析と超局所解析」(研究代表戸瀬信之氏)において、′Irregularities on hypersurplanes of Holonomic D-modules(especially defined by confluent hypergeometric partial differential equations)という題名で講演し、講究録が今年度中には出版される予定である。この中に、正則関数の芽の層、形成べき級数の芽の層、Gevrey評価付きの形式べき級数の芽の層、に値をとらせた解複体のコホモロジー群の計算もn変数の場合に書いてある。2.他機関分担者の研究岩崎克則氏の結果が、別記の論文として掲載された。その手法によるD-加群の解複体のコホモロジー群の計算については、共著を準備中である。高山信穀氏は、上記の計算に使われた、Kanシステムを高速化すべく、プログラムの改良に取り組み、大きな変数でもD-加群の射影分解を短時間で行えるようにしてくれている。木村弘信氏は、多変数の合流超幾何微分方程式に関する交叉コホモロジー、ホモロジー群の関係について交点理論を建設すべく理論の基礎部分を固めつつある。代表者の別記論文は、その足がかりの一助にと示したものである。3.情報交換お互いの研究機関を訪問、あるいは、数理解析研究所等に集合するなどして、情報交換を行って来ているが、その中で、高山信穀氏及び松本圭司氏と、合流超幾何函数についての交点理論をほぼ完成させることができた。代表者の貢献は、予めどこに値をとらせたコホモロジー群を考えるべきかということについて、特異点で平坦な無限回微分可能な函数の層をとればよい、というもので基礎的な同型定理が必要であった。一部分については、別記の論文に書いてある。
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