研究分担者 |
谷島 賢二 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (80011758)
田村 英男 茨城大学, 理学部, 教授 (30022734)
中尾 慎太郎 金沢大学, 理学部, 教授 (90030783)
田村 博志 金沢大学, 理学部, 助教授 (80188440)
高信 敏 金沢大学, 理学部, 助教授 (40197124)
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研究概要 |
本課題の研究は,主にシュレ-ディンガー作用素との関連に注目しながら進めてきた.研究代表者・分担者の各々の研究の思想の根底には「スペクトル」という共通の水脈がある.1.一瀬は,高信,田村英男との共同研究において,統計力学のカッツの格子模型の相転移の判定に関係する転送作用素(カッツ作用素)を考え,シュレディンガー半群との差の作用素ノルムを小さい時間tの1より大きなベキで評価した.B.Helfferの考えたものより一般の,下に有界で多項式増大するポテンシャルの場合に拡張した.その一つの応用として,カッツ作用素の第1,第2固有値の比の,対応するシュレディンガー作用素の,第1,第2固有値の差を用いた漸近評価が得られ,また別の応用として,作用素ンルムでのLie-Trotter積公式が証明された.また,トレースノルムでの同様の問題を考えた.高信との共同研究では,Feynman-Kac公式を用いる確率論的証明によりL^P作用素ノルム評価を,百目鬼敦,田村英男との共同研究では,作用素論的方法によりL^2作用素ノルム評価を行った.磁場を持つシュレ-ディンガー作用素の場合,相対論的シュレディンガー作用素の場合についても結果を得た.2.田村博志は,古典統計力学のN-ベクトル ハイゼンベルク系の分配関数のクラスター展開を調べ,相転移逆温度の下からの評価について,Brydges,Froehlich,Spencer,Sokal等の結果や伊東恵一との結果を改良した.3.中尾慎太郎は,右連続左極限を持つ見本経路からなる確率の過程の変動量に関する積分について一考察を行った.4.田村英男は,シュレ-ディンガー作用素論に基づき,全散乱断面積の漸近的挙動からアハラノフ・ボ-ム効果を結論する結果を得つつある.5.谷島賢二は,時間依存シュレ-ディンガー方程式の基本解が,空間1次元のときポテンシャルが遠方でx^2より早く増大するとき,至る所特異になることを示し,多次元の場合を鋭意研究中である.
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