研究課題/領域番号 |
09440055
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中村 周 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (50183520)
|
研究分担者 |
加藤 圭一 東京理科大学, 理学部一部, 講師 (50224499)
小川 卓克 九州大学, 大学院・数理学研究科, 助教授 (20224107)
堤 誉志雄 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (10180027)
谷島 賢二 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (80011758)
|
キーワード | シュレディンガー方程式 / シュレディンガー作用素 / 散乱理論 / 半古典極限 / トンネル効果 / 基本解 |
研究概要 |
シュレディンガー作用素の固有値、固有関数の性質や、散乱(連続スペクトル)についての研究を深めることが当研究計画の目的である。今年度は、以下に述べるような研究成果を得た。 1. 研究代表者(中村周)は、主に半古典極限や強い磁場中のシュレディンガー方程式についての研究を行い、以下のような成果を得た。(1)2次元空間で定磁場中の粒子を記述するシュレディンガー作用素の固有関数を考察し、磁場の影響によって半古典極限での減衰が早くなることを証明した。これは、相空間のトンネル現象のひとつと解釈できる。(2)ポテンシャルが短距離型の場合にスペクトルシフト関数(散乱位相)の半古典極限を考えると、量子力学的共鳴の影響が観察できることが期待される。実際に、共鳴の近くで階段関数状の挙動を示すことを証明し、副産物としてワイルの公式の一般化がトラッピングなエネルギーでも成立することを示した。(3)そのほかに、アグモン型の指数減衰評価の一般論や、強い磁場の極限でのスペクトルの準周期的挙動についての研究を発表した。 2. 谷島賢二(研究分担者)は、時間に依存するポテンシャルを持つ場合に(時間に依存する)シュレディンガー方程式の基本解が有界になるための条件を研究し、いくつかの十分条件を得た。ポテンシャルが滑らかで遠方で発散する場合と、特異性がある場合をそれぞれ調べた。 3. 堤誉志雄(研究分担者)は、異なる伝播速度を持つ非線形波動方程式の連立系に対して、臨界指数のストリッカーツの評価式が回復するかを研究した。 4. 小川卓克と加藤圭一(ともに研究分担者)は、共同でKdV方程式に特異な初期条件を与えたとき、滑らかさが回復することを示した。また、それ以外にも、非線形発展方程式の適切性、安定性についてのいくつかの結果を得た。
|