研究分担者 |
小川 卓克 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (20224107)
中村 周 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (50183520)
三宅 正武 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (70019496)
加藤 義夫 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (70023968)
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研究概要 |
本研究では線形摂動理論が利かない非線形方程式固有のおもしろさである大きな解について考察した。例えば、爆発解の問題はNavier-Stokes方程式の場合、Leray以来の懸案である。歴史的には、Serrinが関数空間L^3(0,T;L^q(Ω))を導入し、Leray-Hopfの弱解の一意正則性を2/s+n/q=1、n<q<∞の場合に証明したことが知られている。その後、Masuda は 一意性に関して、臨界ケースs=∞,q=∞の場合を考慮し、u∈L^∞(0,T;L^n(Ω))かつL^n(Ω)に値をとる(0,T)上の“右連続"であれば、ただ一つであることを示した。本研究ではまず、この右連続性の仮定に関する付加条件を除き、単にu∈L^∞(0,T;L^n(Ω))であっても一意性が成立することを証明した。クラスL^∞(0,T;L^n(Ω))はLerayの提案した自己相似解による爆発解と密接な関係にある。つい最近、Lerayの自己相似爆発解は存在しないことが証明された。(Necas-Ruzicka-Sveak[NRS]による)。実は、Lerayの爆発解はL^∞(0,T;L^n(Ω))に属することが示せる。従って[NRS]の結果により、このクラスは一意性のみならず、正則性も保証すると予想ができる。上記の考察に引き続いて、弱解uがL^∞(0,T;L^n(Ω))に属し、かつ時刻t_075(0,T)において左極限limsup_<t→t>*_<-0>||u(t)||_nと値||u(t_*)||_nの差が小さいならば、t_0の近傍でu(t)は滑らかであることを証明した。 Navier-Stokes方程式は半線形放物型方程式と異なり、解の局所的性質を考察することが困難である。実際、速度場uに加えて、圧力pは例えば全空間R^nの場合、u【cross product】uの特異積分作用素で書ける。従って、弱解の正則性は領域全体に渡る大域的な問題である。本研究においては、Bogovskiによる発散方程式の公式を応用することにより、局所的な問題である弱解の“除去可能特異点"の特徴付けを行った。
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