研究概要 |
非圧縮性理想流体の運動を支配するEuler方程式に関しては,初期条件がSobelev空間W^<s,p>(R^n),s>n/p+1に属するとき,古典解の時間局所存在が示されている.その古典解が実際は大域的に延長可能なのか,あるいは有限時刻でその滑らかを失うのかはn【greater than or equal】 3に関しては未解決問題である.Beale-Kato-Majda(BKM),Kato-Ponce(KP)は解uの過度ω≡rot uに着目し,時刻t=Tでu(t)がW^<s,p>(R^n)に属する解として延長不能ならば,∫^T_0‖ω(t)‖_<L^∞>dt=∞であることを示した.本年度の分担者の研究においては,彼らの爆発の基準(blow-up criterion)が,実際にはL^∞より広い空間であるBMOで成立することを証明した.キーになる議論は,仮定∫^T_0‖ω(t)‖_<BMO>dt<∞なるもとで,解u(t)のL^∞(0,T;W^<s,p>(R^n))におけるアプリオリ評価を得ることである.BKM,KPらは,ソレノイダルベクトル場uにおける勾配∇uのL^∞-評価を過度ωのL^∞-ノルムとu自身の対数型W^<s,p>-ノルムで確立し,プリオリ評価を示した.ここに,s>n/p+1.本研究では,関数f自身に対して彼らの対数型不等式をBMO-空間へと一般化した: ‖f‖_<L^∞>【less than or equal】C{1+‖f‖_<BMO>log(e+‖f‖_<W^<k,p>>)}k>n/p 更に上記の不等式は,BMO-空間から斉次Besov空間B^0_<∞,∞>へと拡張可能である.
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