研究分担者 |
萬代 武史 岐阜大学, 工学部, 助教授 (10181843)
松本 和一郎 龍谷大学, 理工学部, 教授 (40093314)
梶谷 邦彦 筑波大学, 数学系, 教授 (00026262)
杉本 充 大阪大学, 大学院・理学研究科, 講師 (60196756)
満渕 俊樹 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80116102)
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研究概要 |
我々のとった研究方法および得た研究成果は概ね次のとうりであった. 1.現在までの正値対称系に関する研究結果および現在進行中の研究の概略を把握するため,当該研究の研究期間の初期に外国から2名,また国内から研究分担者を含む20名強の研究者を集めて,研究集会を開催し研究結果の発表,討議をおこなった.この研究集会の主要な成果として (1)擬対称系の研究がイタリアを中心に始められており,この理論が正値対称系の研究に深く関係していることが分かり特に2×2系に対しては新たな重み関数の構成の方法が得られた. (2)数理物理に現れる新しい正値対称系のモデルが研究されており,このモデルの問題の解はL^2の意味で一回は微分可能であるが2回は微分可能でないことが分かった.この問題に対する重み関数を見つけることは今後の研究課題である. (3)非線形対称系の解の幾何的爆発の理論で,解の爆発を示すための基本的推論が,正値対称系の境界行列の階数の変わる点で重み関数によるアプリオリ評価の導出と同じであることが分かり,幾何的爆発の理論で用いられる精密なアプリオリ評価を得る方法が適用できた. 2.境界行列の階数の変わる点に沿ってブロウアップを行ない,ブロウアップした空間で重み関数によるアプリオリ評価の導出を試みる. (1)境界行列が階数の変わる部分多様体上で零行列になる場合は,この多様体に沿って微分作用素をブロウアップするとブロウアップした空間では非常に単純な重み関数でアプリオリ評価が得られることが明らかになった.この方法によって空間2次元の場合に残っていた場合を取り扱うことが出来,この場合はほぼ満足すべき結果がえられた. (2)ブロウアップした微分作用素に対して解の微分可能性は保証される境界条件を設定したとき,この境界条件のもとの空間での解釈および意味づけは今後の課題である.
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