研究分担者 |
萬代 武史 岐阜大学, 工学部, 助教授 (10181843)
一ノ瀬 弥 信州大学, 理学部, 教授 (80144690)
梶谷 邦彦 筑波大学, 数学系, 教授 (00026262)
杉本 充 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60196756)
松村 昭孝 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60115938)
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研究概要 |
我々の得た研究成果は概ね以下のとうりであった. 1. 正値対称系の境界値問題を有界開集合上で考え,境界行列に対して次の仮定をおく.即ち境界上の余次元1の多様体を除き境界行列の階数は一定であり,さらにこの多様体の少なくとも片方の側では境界行列は定値である.このとき,我々は適当な重み関数でしかもこの境界上に埋め込まれた多様体の外では正の値をとるものを見つけ,この重み関数を使ってアプリオリ評価を得ることに成功した.このアプリオリ評価から,法線方向にも滑らかな境界値問題の解を得ることができた.また,アプリオリ評価と滑らかな解の存在を用いて弱解のこの多様体の近くでの漸近挙動を得ることに成功した.得られた漸近挙動の評価は例によって示せるようにシャープなものである. これらの結果は2次元の領域では,境界行列の階数が変化する基本的な場合を尽くしており,十分に満足できるものであり,特にトリコミの方程式に適用すれば,解の一意性の別証明を与えることができる.3次元の領域に対しては,1つの基本的な場合がまだ扱えずに残っている. 2. 境界行列が階数の変わる部分多様体上で零行列になる場合は,この多様体に沿って微分作用素をブロウアップするとブロウアップした空間では単純な重み関数でアプリオリ評価が得られることを明らかにした.そこで境界行列の階数の変わる点に沿ってブロウアップを行ない,ブロウアップした空間で重み関数によるアプリオリ評価からもとの空間での滑らかな解の存在を示した.さらに1で述べたのと同様の方法によって,階数の変わる部分多様体の近くでの弱解の漸近挙動を調べることを可能にした. この結果を流体の方程式に応用するための第一段階として,線形化方程式の解の存在とアプリオリ評価を導きだした.これによっていままでは扱えなかった境界条件の一部が扱えるようになった.
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