研究課題/領域番号 |
09440071
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
西浦 廉政 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (00131277)
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研究分担者 |
柳田 達雄 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (80242262)
小林 亮 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (60153657)
津田 一郎 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10207384)
上山 大信 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20304389)
坂元 国望 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40243547)
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キーワード | 自己複製パターン / パルス相互作用 / 反応拡散方程式 / 遷移ダイナミクス / 分岐 / カオス |
研究概要 |
今年度の得られた成果を中心に報告する。 1.離散散逸系におけるカオス的挙動をする局在パルスの研究 格子(lattice)上の自己複製散逸系において特徴的なことは局在化したパルス構造を保ちながら空間方向にカオティックに挙動するものが存在することである。このカオス的パルスがどのように出現するか及びその定性的性質を調べた。出自としては定常パルス解から振動パルス解を経て、カオス的になるルートと進行パルス解からカオス的になるルートがあることがAUTOの解析から判明した。どちらもIntermittent型での遷移となっている。 2.パルス相互作用と遷移ダイナミクス 弱い相互作用、つまり十分離れたパルス間の相互作用を記述するのにpulse interaction methodが有用であることは分担者の栄らにより明らかにされてきた。しかし自己複製をはじめ、強い相互作用に対してどのような数学的枠組みを構築してゆけばよいかはほとんど未開拓であった。この第一歩としてAUTOによる大域的な枝の振舞いの結果を受けて、分裂初期の解の振舞いを不変多様体上の運動として特徴付けることができた。適当な仮定の下にさらに弱い相互作用と強い相互作用の関係についても部分的に明らかにできた。 3.遷移ダイナミクス及び偏微分方程式に適合した分岐解追跡ソフトウエアーのまとめと展望 複雑な時空パターンを理解するのに、遷移的ダイナミクスが本質的役割を果たしていることはこれまでの研究で明らかにされた。その際、安定解のみならず、不安定解およびその不安定多様体の挙動が決定的に重要であり、そのためにはAUTOをはじめとする分岐解追跡ソフトによる解析が不可欠であった。それにより真に「アトラクターを超えた」非平衡ダイナミクスを解明するきっかけは作られた。しかし無限次元空間での大域分岐幾何学ともいうべき枠組を構成するにはまだ多くの情報が欠如している。その一部は計算機の今後の発展により解消されるが、偏微分方程式のダイナミクスを不安定度の高い解から眺めるというような視点の変換も大いに必要となるであろう。
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