研究課題/領域番号 |
09440076
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
金田 行雄 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10107691)
|
研究分担者 |
後藤 俊幸 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (70162154)
石原 卓 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (10262495)
小薗 英雄 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 助教授 (00195728)
石井 克哉 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (60134441)
|
キーワード | 乱流のラグランジュ的統計理論 / β面乱流 / 波と乱流の相互作用による位相変調 / 一様剪断乱流中の拡散 / 乱流拡散の統計理論 / ラグランジュ的2時刻相関関数 / バデ近似 / 直接数値シミュレーション(DNS) |
研究概要 |
本年度の主な研究成果は以下のとおりである。 ・ 惑星など球面の自転効果の緯度依存性を考慮した最も簡単な流体運動モデルとして知られるβ面モデルにラグランジュ的な乱流の統計理論を適用し、波(ロスビー波)と乱流との相互作用による位相変調を解析した。その結果enstrophy cascade(k^<-3>)領域に特徴的な位相変調があることを導き、その理論結果と直接数値シミュレーション(DNS)とが定性的だけではなく定量的にも良く合うことを検証した。 なお、上記β面モデルは自転のない特別な場合として2次元Navier-Stokes方程式を含んでいる。その場合の統計理論解析によって、良く知られたKraichnan-Batchelor-Lieth(KBL)による2次元乱流のエネルギースペクトルのk^<-3>則とそのべき-3は一致するけれど、必ずしもKBL理論には従わない新しい種類のスペクトルが現れることを示し、DNSで検証した。 ・ 平均流が単純剪断流である統計的に一様な乱流は剪断乱流の中で最も簡単で基本的なものの一つである。従来、このような乱流中では、もしオイラー場が統計的に定常ならラグランジュ場もそうであると仮定されてきた。しかしながら本研究では、統計理論的解析によってその仮定は必ずしも正しくないこと、またそれ故、従来用いられている勾配拡散型の乱流拡散モデルでは説明できない乱流拡散が起きることが示された。 ・ 乱流による物質や熱輸送の研究において重要な役割を果たすラグランジュ的2時刻相関関数を効率的に求める新しい近似計算法を昨年度に続き開発した。その方法は時間についてのテイラー展開とパデ近似を利用するものであり、今年度は昨年度示されたように一粒子自己速度相関だけでなく、2粒子相関についても、さらに非等方軸対称乱流の場合についても、その方法が有効であることを示し、DNSとよい一致を示すことを検証した。
|