研究分担者 |
西浦 廉政 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (00131277)
竹内 敏己 徳島大学, 工学部, 講師 (30264964)
坂口 秀雄 徳島大学, 工学部, 助手 (80274265)
岡本 久 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (40143359)
池田 勉 龍谷大学, 理工学部, 教授 (50151296)
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研究概要 |
本年度は研究期間の中間年度にあたる。以下の項目について新たな成果が得られた。 1. 1次元自由境界問題のフラクタル次元の解析。 今井らは,厳密にフラクタル次元を計算できる空間1次元の自由境界問題を考えついた。しかしながら,1次元問題では厳密に次元を計算できる代わりに,高階の時間微分を含む問題を元の問題から新たに導出する必要がある。現在,この新たな問題の導出とその数値計算法の開発を行っている。 2. 無限精度数値計算法の開発と自由境界問題への応用。 徳島大学のグループは,打ち切り誤差と丸め誤差を自由に変えられる無限精度数値計算法を開発した。それを,固定領域問題に適用したところ,いままでとは比較にならない超高精度性を確認することができた。また,自由境界問題への応用法も開発した。 3. 散逸系におけるパターンの挙動の解析。 西浦は,散逸系における自己複製パターンを駆動している力学的構造を,大域分岐理論の立場から解析し,極限点の階層構造がそれを担っていることを明らかにした。 4. PVMの性能評価。 竹内・坂口は,数学教室にあるUNIX機にネットワーク接続して,昨年度構築した並列計算環境PVMを拡大した。この環境で,2次元渦層の数値計算を行ったところ,計算機の台数分に近い倍率の高速計算ができた。 5. 高速計算手法の開発と応用。 池田は,領域分割法に基づく並列計算アルゴリズムを開発し,それを大腸菌の密度と走化性物質の密度を未知関数とする反応拡散方程式系に適用した.美しいストライプ・スポットパターンを数値的に再現することができた.岡本は,Navier-StokesやEuler方程式に現れる内部遷移層や渦層の構造を数値的に調べた。そのために必要となる数値手法の改良についても進歩があった。 6. 生物系の自由境界問題の解析。 坂口は,枯草菌が形成するコロニーパターンの数理モデルを提唱し,モデル方程式から界面方程式を導き,この問題を自由境界問題として捉えることで解決するための研究を進めている。
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