研究分担者 |
半田 賢司 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (10238214)
三苫 至 佐賀大学, 理工学部, 教授 (09640279)
杉田 洋 九州大学, 大学院・数理学研究科, 助教授 (50192125)
長井 英生 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (70110848)
楠岡 成雄 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (00114463)
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研究概要 |
1.平成9年10月9日〜10日に,佐賀大学で研究集会「確率ファジィ解析とその周辺」を開催し,次のようなテーマについての講演と,現状と展望についての討論を行なった.(1)Random setの基礎,(2)Fuzzy集合の影と不動点定理,(3)Fuzzy random setについての大数の法則(4)Fuzzy測度と意思決定,(5)ファジィ推論法,(6)Fuzzy stopping time,(7)Fuzzy random variableの条件付平均,(8)Fuzzy martingeles. 2.Kudo-Aumann積分はKudo(1953)とAumann(1965)によって独立に導入されたものだが,一般には被積分確率変数が閉集合値であっても,積分したのは閉集合とは限らないことが知られており,このことが種々の理論を展開する際のネックになっていた.このことについて,元のBanach空間が反射的ならば,有界凸閉集合値の確率変数のKudo-Aumann積分もまた有界凸閉集合であるという定理を得た.併せて,同様のことが条件付期待値についても成立することを証明した. 3.レベル集合が必ずしもコンパクトとは限らない可積分なファジィ値確率変数の平均と条件付平均をKudo-Aumann積分を用いて定義し,それらの基本的性質を得た.また,ファジィ値確率変数の空間にふたつの距離を導入して,これらを有限にする空間が,夫々の距離について完備であることを得た. 4.元のBanach空間がRadon-Nikodym性と呼ばれる,ある緩い性質を持てば,一様可積分な集合値マルチンゲ-ルは及びファジィ値マルチンゲ-ルは正則表現を持つことを示した.また,ファジィ値マルチンゲ-ルについての任意抽出定理を証明した.これは,集合値マルチンゲ-ルについては既に結果があるが,ファジィ値については,コンパクト集合値の場合も含めて初めての結果である. 5.2で述べた結果を用いて,一般のBanach空間の集合値及びファジィ値マルチンゲ-ル,劣(優)マルチンゲ-ルを,元のBanach空間が反射的なときは従来のものに一致するように定義して,これらのものが元の空間がRadon-Nikodym性を持つとき,Kuratowski-Moscoの意味で収束するという定理を得た.
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