研究分担者 |
杉田 洋 九州大学, 大学院・数理学研究科, 助教授 (50192125)
長井 英生 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (70110848)
楠岡 成雄 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (00114463)
李 寿梅 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (00304874)
三苫 至 佐賀大学, 理工学部, 教授 (40112289)
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研究概要 |
従来のファジィ値確率変数の収束定理の研究は,レベル集合がコンパクトの場合が主流だった.これは凸なコンパクト集合の全体をバナッハ空間に埋め込みその上の解析に訴えるという手法に起因する.これを拡張して,より広い範囲のファジィ値確率変数について収束定理を得るのが本研究の目的である.コンパクトの制限を外すのには二つのことが考えられる.一つは有界であるがコンパクトでない場合で,これはバナッハ空間が無限次元であることによって起こる.もう一つは有界でない場合で,これは有限次元の場合でも起こる.本研究では昨年度までは主に前者に焦点を当てて研究を行い,いくつかの成果を挙げて来たが,本年度は主に後者について行って来た.得られた結果は,大数の法則,マルチンゲールと優マルチンゲールの収束定理,確率変数の単関数による近似である.これらの問題は通常の確率変数のついては良く知られていることであるが,集合値またはファジィ値確率変数については,決して明らかではないことを断っておく.実際,先ず収束をどのように定義するかという問題があるが,これにはKuratowski-Mosco収束とWijisman収束を用いた.また,ファジィの特質を生かす為に,単なるレベル集合の集まりという従来の思考法に代わるグラフ収束と概念を導入した.更に,手法として可分性,即ち可算レベルについて対応するレベル集合が収束すれば,元のファジィ集合もグラフ収束するという定理を準備した.また,以上の他にも,有界でないレベル集合を持つガウスファジィ確率変数の表現定理並びにdefuzzificationについて新たな知見を得た.
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