研究分担者 |
佐官 謙一 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (70110856)
今吉 洋一 大阪市立大学, 理学部, 教授 (30091656)
小松 孝 大阪市立大学, 理学部, 教授 (80047365)
伊達山 正人 大阪市立大学, 理学部, 講師 (10163718)
藤井 準二 大阪市立大学, 理学部, 講師 (60117968)
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研究概要 |
フラクタルとは、位相次元を超えるハウスドルフ次元をもった距離空間上の図形をいう.このような図形の中で、とくに、自己相似性と概周期性をもったものがよく研究されており、本研究でも主にこのようなものを考察する.このような対象は滑らかさを欠いており、このため、従来の解析学の枠外にあり、今なお、実りある成果は少ない.しかしながら、これらは、自然現象や社会現象の中に頻繁に見い出され、重要な研究対象となりうるものであり、応用も期待される. 本研究ではフラクタル関数を作り出す数学的機構の一つとして,重み付き置換規則を用いた.これの不動点の軌道の閉包としてcolored tiling spaceが定義される.ここには,移動(加法)とスケール変換(乗法)が分配律を満たしつつ作用している.この空間上のα-次同次コサイクルは,加法に関して唯一エルゴード的で,この不変確率測度は乗法に関しても不変となり,α-次自己相似確率過程となる.これは0-エントロピーを持ち,従来から知られている自己相似確率過程とは趣を異にする.とくに,1/2次の自己相似性をもつこのような確率過程は決定論的ブラウン運動と呼ばれ,ブラウン運動に代わりうる確率モデルとして用いられる.本研究ではこれに関する予測理論を完成させた. この予測理論を通常のブラウン運動にもとずくものと比較すると,一定期間の観測から近未来の時点tでの値を予測するとき,予測の精度がO(t^2)となり,ブラウン運動の場合のO(t)より桁違いに良くなる.この予測理論の応用は今後の課題である.
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