本研究課題のために本年度は大型の2次元赤外線カメラと小口径望遠鏡で近傍銀河のサーベイ観測を行う専用の近赤外線撮像装置を製作した。具体的には 1.クライオスタットの製作 40cm望遠鏡のニュートン焦点に装着が可能なように、小型のクライオスタットを製作し、低温で十分に安定した温度制御をするために小型令凍機を装着した。クライオスタット内にはシャッターとフィルターを内蔵し、熱雑音源とならないように90Kまで冷却し、赤外線検出器は60Kまで冷却てぎることを確認した。 2.温度コントロールシステムの製作 本赤外線カメラに装着したPtSi2次元赤外線チップは5μmまで感度があるので熱雑音を押さえるためには十分に冷却して使う必要がある。LakeShore製の温度コントローラを用いて約0.1K程度の温度コントロールを実現した。 3.PtSi検出器のパッケージの製作 従来のパッケージではPtSi検出器から発生する熱を有効に逃す構造になっていない。そこで検出器より小さなパッケージを製作し、検出器の裏面に直接貼り付けることにより熱を有効に吸収する構造とした。 4.40cmの望遠鏡システムの製作 パークス社製の40cm反射望遠鏡を東北大学理学部の建物の屋上にあるドーム内にある小型の赤道儀に設置した。 5.東京大学理学部木曽観察所での観測の継続 現在まで行ってきた可視光CCDカメラと木曽観測所近赤外線カメラによる近傍銀河の観測を行った。対象は5分角〜10分角の大きさを持つ近傍銀河の中から選択した様々な銀河タイプの約50の銀河である。これらの観測データから渦巻銀河についてはバルジとディスクを分離して現在の銀河進化モデルとの比較を行った。
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