研究課題
惑星はどのように生まれるのか、太陽系の起源は何なのか、我々の太陽系はユニークなものかという問いに答えるには、我々の太陽系を調べるだけでは不十分で、それ以外のサンプル、すなわち太陽系の外にある惑星を検出し、調べることが必要である。近年の系外惑星の間接的な発見に裏付けを得て、その直接検出が今後の最重要課題となっている。本研究の目的は、地球大気の揺らぎを補正する補償光学とコントラストの高い観測を可能にするステラーコロナグラフを応用し、かつ、大口径望遠鏡を用いて高感度・高解像度観測を行い、木星型の巨大惑星を太陽系外の星のまわりに直接検出することを目指している。本年度は系外惑星検出のための観測装置である、ステラーコロナグラフの製作を完了し、すばる8.2m望遠鏡において実際に観測を行い、世界で始めての低温赤外線コロナグラフに最適化した装置の機能確認とこの装置を今後の惑星検出に応用するための評価を行った。補償光学を利用する所にまでは至らなかったが、大気の好条件下では、従来より微細なオカルティングマスクを用い、主星に近い領域の微細構造をとらえることができることを確認した。この装置の記述と観測の結果を国際会議にて発表した。さらに、今後の観測対象選定のために、恒星誕生の場である分子雲の高感度赤外線観測を行い、生まれたばかりの褐色矮星(巨大惑星と恒星の中間的な天体)を、既に我々が観測したおうし座やカメレオン座分子雲にとどまらず、オリオン座・ペルセウス座・おおかみ座分子雲などさまざまな領域においても検出することに成功し、そのような若い褐色矮星の普遍性を示すことができた。これらの結果は、天文学専門誌に出版された、及び、出版準備中である。
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