研究課題/領域番号 |
09440101
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
素粒子・核・宇宙線
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
梶田 隆章 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (40185773)
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研究分担者 |
塩澤 真人 東京大学, 宇宙線研究所, 助手 (70272523)
伊藤 好孝 東京大学, 宇宙線研究所, 助手 (50272521)
金行 健治 東京大学, 宇宙線研究所, 助教授 (30224629)
岡田 淳 東京大学, 宇宙線研究所, 助手 (90013341)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 大気ニュートリノ / ニュートリノ / ニュートリノ振動 / ミューニュートリノ / タウニュートリノ |
研究概要 |
大型水チェレンコフ装置スーパーカミオカンデで大気ニュートリノを観測し、そのデータを精密に解析することで、ニュートリノ振動の研究を行った。 大気ニュートリノ事象のうち高エネルギーのミューオン事象に対し上向きの事象と下向きの事象の比をとると、理論予想値が1のところ、観測値は0.56±0.04(統計誤差)±0.01(系統誤差)となり、統計的には8シグマの有意さで理論と合わない。これを説明するためには、飛行距離の長い上向きミューニュートリノがニュートリノ振動で減ってしまったと考えるしかない。この結論は、観測されたミューオンと電子の数の比の測定や、より高エネルギーの大気ニュートリノが測定器の外で相互作用して測定器に入射した上向きミューオン事象のデータでも支持されることを確認した。これらの観測より、我々は大気ニュートリノのデータからニュートリノ振動の確固たる証拠をつかんだと結論した。 大気ニュートリノ振動はミューニュートリノとタウニュートリノ間の振動と通常は解釈される。しかし、もし、今まで知られていない通常の弱い相互作用もしないニュートリノ(ステライルニュートリノ)を考えても矛盾なくデータを説明できるという指摘がある。そこで我々は、このような新しい粒子がニュートリノ振動に関わっているか否かを、ステライルニュートリノが中性カレント相互作用も含めて物質と全く相互作用をしないことを利用して検定した。その結果99%の信頼度でニュートリノ振動にステライルニュートリノは関わってないという結論をえた。 以上より、ニュートリノ振動はミューニュートリノとタウニュートリノ間であり、2種のニュートリノ間の質量の2乗の差は(2〜5)×10^<-3>eV^2であり、また、2種のニュートリノ間の混合角はsin^22θ>0.88と、考え得る最大であることが判明した。
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