研究概要 |
この研究の目的は,外部強磁場を用いた低温偏極核の核磁場共鳴(BF-NMR-ON)の包囲を確立させ,これまでの強磁場体の内部磁場を用いたNMR-ONの方法では測定できなかった広範囲の原子核の電磁モーメントの測定を行い、原子核の研究を行うものである.計画は平成9年度から3年計画である. この研究費で購入した外部強磁場は,最高磁場12T、ソレノイド型,均一度0.1%以下(直径10mm球内),コールドボア33mm以上,永久電流モードスイッチ付で,マグネットサポートシステムを備え,ガンマー線測定用の半導体検出器を強磁場から保護するためのキャンセレーションコイル(100ガウス以下)をも備えている.これを新潟大学理学部にある既存の3He/4He希釈冷凍機の外側にセットした. この希釈冷凍機内には面積50mm^2,暑さ0.7mmのSi検出器を備え,β線を窓無しで検出できるようにした.また内部には共鳴用のRFコイルを2個設置した. Ge半導体ガンマー線検出器は,既存の60%の検出効率をもつポップトップ水平型のクライオスッタトからハンデイ型のものに移し替えるため新しいクライオスッタトを購入してこれに移し替えた.これでこの希釈冷凍機の下部から挿入してガンマー線を測定する. テスト実験用の試料は高エネルギー加速器研究機構田無分室のSFサイクロトロンを用いて制作した。50MeVのαビームを用いてCr,Mn,Feなどのターゲットで56,57Co,52,54Mnなどの放射性原子核をCu箔に反跳埋め込み法でインプラントした.それぞれの強度を調べた結果,52MnはCr,56CoはMn,57Co,54MnはFeをそれぞれターゲットにしたときが収量が一番多いことが判明した.10mK以下の低温での実験はこれから引き続き行う.
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