ハドロンライダーLHCに於いて素粒子物理を引き出す準備研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09440103
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 信州大学
• 研究代表者: 竹下 徹 信州大学, 理学部, 助教授 (70154995)
• 研究分担者: 川村 嘉春 信州大学, 理学部, 助手 (10224859) ; 寺沢 修 信州大学, 理学部, 助教授 (90020677) ; 美谷島 実 信州大学, 理学部, 教授 (20068258)
• キーワード: ハドロンコライダー / LHC / 素粒子物理

研究概要

まずLHCの測定器の全体についての理解を深める作業を行った。このため、LHCについて公表された情報を収集しこれを元に全体像の再構成を行い、特徴的な点や問題点を議論した。また測定器の置かれた環境特にバックグラウンド粒子の種類や数について今まで計算された結果を収集しマップを作成し検討した。特にこの研究達が携わる前後方領域でバックグラウンドは急激に増大し、測定器の性能はこれによって左右される可能性があることが分かった。またそこから導かれる物理もこれらに影響されてアウトプットが不安定になる危険性を認識した。さらに素粒子物理学上の過去の理論計算や予想の概観を行い評価した。特にHiggs粒子探索の可能性、トップクゥオ-クの精密測定の可能性(特に偏極度を含んだ計算等)、SUSY粒子の探索の可能性、CP非保存研究の可能性の研究のための検討を行った。また今後計算されなければならない物理過程(粒子生成やバックグラウンド過程)を把握し、これに基づき実際の生成断面積やこれらの微分量の計算のあたりを付けた。
本年度では、これらの取り組みと平行して事象のシミュレーションを実行するための道具建てを確立し各計算を事象生成可能な形でシミュレーションに組込むことが目標となっている。このため並行プロセス処理型システムの一部を購入しこの事象シミュレーションの道具として特化して用いるための準備が進行中である。
またトリガーシミュレーションのためのエレクトロニクスの準備を始めた。

研究成果

• [文献書誌] Y.Kawamura et.al..: "Specific scalar mass relations in SU(3)xSU(2)xU(1)orbifold model." Physics Letters. B400. 284-294 (1997)
• [文献書誌] Y.Kawamura et.al..: "Soft scalar-mass sum rule in gauge-Yukawa unified models and its superstring interpretation." Physics Letters. B405. 64-70 (1997)
• [文献書誌] Y.Kawamura and T.Kobayashi: "Generic formula of soft scalar masses on string models." Physical Review. D56. 3844-3859 (1997)
• [文献書誌] M.Biyajima et.al..: "Analysis of multiplicity distributions by means of the modified negative binomial distribution and its KNO scaling functions." Prog.Theor.Phys.98. 1289-1298 (1997)
• [文献書誌] M.Biyajima et.al..: "Generating functional approach to Bose-Einstein correlations." Physical Review. C56. 2736-2746 (1997)
• [文献書誌] M.Biyajima et.al..: "Comparative analysis of multiplicity distributions in inelastic proceses for different colliding particles and nuclei." Physics Letters. B403. 149-154 (1997)
• [文献書誌] M.Biyajima et.al..: "Quasiscaling in the analysis of the yield ratioπ-/π+:mathematical structure and estimation of source size." Pysical Review. C55. 2615-2620 (1997)
• [文献書誌] M.Biyajima et.al..: "Wavelet analysis of cosmic rajets." Nulcear Physics. 52B. 246-248 (1997)