研究概要 |
岐阜県跡津川断層系に位置する神岡鉱山の茂住坑道の活断層調査坑道の湧水と,割石温泉の温泉水の連続観測を行った。それぞれの地下水について、ラドン濃度、流量、水温を測定し、地球科学的な手法を用いて、地下水の変化と地震との関係について明らかにした。液体シンチレーション法によるラドン濃度の測定から、神岡鉱山の活断層調査坑道の5地点の地下水のラドン濃度は、2.28〜15.76Bq/lであり、割石温泉のラドン濃度は2.54Bq/lであった。 割石温泉では,過去20年間にわたって管理人が毎週月曜日にバケツを用いて湯量と泉温の測定を行ってきた。この間に起きたマグニチュード6.6を越える3つの地震に伴う湯量の変化・前兆現象が記録されていたことが新たに判明した。平成10年度から開始した連続観測では,湯量と泉温が潮汐現象の影響を受けて変化していることが明らかになった。また,1998年8月7日14時頃から始まった長野・岐阜県境の群発地震の際には,地震が起きる約8時間前に,震央から約30km離れた割石温泉では約1度の泉温の低下が観測れた。さらに,1998年8月16日3時31分のマグニチュード5.4の地震直後に泉温か約1.5度上昇し,湯量が毎分57リットルから79リットルに増加する現象も観測された。 また,福井県和泉村の平成の湯においても,地球潮汐の影響を受けて自噴量が変化しており,1998年10月25日9時47分のマグニチュード3.9の地震直後に泉温か約0.07℃上昇し、自噴量が毎分194リットルから204リットルに増加する現象がみられた。また,過去5年間に同様な湯量の増加が4回も観測されている。
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