研究分担者 |
吉田 賢二 神奈川大学, 工学部, 助手 (90260984)
田村 忠久 神奈川大学, 工学部, 助手 (90271361)
鳥居 祥二 神奈川大学, 工学部, 助教授 (90167536)
田中 直彦 芝浦工業大学, システム工学部, 専任講師 (10255648)
渡部 英二 芝浦工業大学, システム工学部, 助教授 (40191746)
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研究概要 |
1)前年度の乗鞍岳でのガンマ線観測を基に,BETS観測器の改良を行った.本年度の観測はバルーン高度のため大天頂角からの粒子が圧倒的に多くなる.それらのうち荷電粒子を排除するために,30cmx15cmx1.5cmのプラスティック・シンチレータを4枚検出器上部に追加した.読み出しは,シンチレータ中に8本のファイバーを埋め込み,小型PMTで行うこととした. 2)当初予定したKEK田無の電子シンクロトロンでの低エネルギーガンマ線による装置の較正実験は装置搬入後に電子シンクロトロンが故障し,その後解体されたため実現できなかった. 3)バルーンは文部省宇宙科学研究所三陸大気球観測所から9月2日午前6時55分に放球され,宮古湾で午後5時17分に迅速に回収された.上昇中のトリガーレットは計算値と極めて良い一値を示し,計算及び装置双方が健全である事を示した.ニュートリノの較正に有効な高度である.15.3km,18.5km,21.2km,24.7kmで各30分程度のレベルフライトに近い極めて低速度の上昇を実現した. 4)各高度での観測から,ガンマ線と認定されたイベントを取りだし,エネルギー・スペクトルを求め鉛直強度を導いた.3GeVから30GeVまでのスペクトルはベキで良く近似でき,高度15.3km〜21.2kmでの鉛直強度はBESS実験で求められている1次宇宙線強度を用いた計算値と極めて良く一致した.しかし,それ以上の高度では計算値より観測値が有意に大きな値を示した.これは検出器のアンチコインシデンス用のブラスチックシンチレータと本体の間に隙間があり,そこから入る陽子を排除しきれていないためと考えられる.現在シャワーのイメージ解析などでこうした陽子シャワーの排除の検討を行っている.これらの補正と装置を更に改良した上での2回目の観測(12年度6月を予定)の結果,及び他グループの大気ミューオンの観測との比較からニュートリノフラックスの較正を行う予定である.
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