研究課題/領域番号 |
09440115
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
谷村 克巳 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00135328)
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研究分担者 |
秋元 郁子 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00314055)
金崎 順一 大阪市立大学, 工学部, 助教授 (80204535)
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キーワード | 再構成表面 / 原子放出 / 光誘起構造変化 / STM / フェムト秒レーザー |
研究概要 |
平成11年度は、本研究において我々が開発した、フェムト秒パルスレーザーによる非共鳴多光子イオン化分光の手法を用いてInP清浄表面からの原子放出機構を中心に研究を展開した。化合物半導体表面などの複数の原子種から構成される表面における光誘起原子過程を研究する際、P、As等の高いイオン化エネルギーを有する非金属原子原子と同時に、金属原子も含め、同時かつ高感度に放出される中性原子を検出する事は必要不可欠であり、我々が開発した手法によって初めてこの様な測定が可能となった。この手法による研究によって、以下の成果を得た。 1.前年度までに、InP表面の擬1次元的P原子列上に、電子励起効果特有の効果として、vacancy stringsの生成が効果的に発生する事が明らかになった。この機構を明確にすべく、(1)構造変化形態と効率のフェルミ準位依存性、(2)励起波長依存性の研究を展開した。その結果、n型とp型の試料表面では、発生するボンド切断の効率および構造変化の形態が著しく異なる事を明らかにした。 2.フェムト秒パルスレーザーによる非共鳴多光子イオン化分光によるInP(110)-(1x1)表面からの原子放出過程を研究し、(1)表面完全サイトでのボンド切断が発生しない弱い励起領域で、表面に存在する付加原子のボンド切断が効率的に発生する事,(2)完全サイトでのボンド切断に対応して、主要な放出種としてP原子が放出される事、(3)完全サイトでのボンド切断とvacancy隣接サイトでのボンド切断では、放出原子に与えられる運動エネルギーが異なる事を明かにした。 これらの結果は、半導体表面の光誘起原子過程にフェムト秒レーザーを用いた事によって初めて得られた新たなかつ重要な知見であり、現在その内容を論文として取りまとめている。
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