研究課題/領域番号 |
09440117
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
邑瀬 和生 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50028164)
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研究分担者 |
王 勇 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30294143)
松田 理 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30239024)
井上 恒一 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (50159977)
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キーワード | カルコゲナイドガラス / ラマン散乱 / ガラス転移 / 共有結合ガラス / フォノン / フラクトン / 平均配位数 / リジディティーパーコレーション |
研究概要 |
4配位元素と2配位元素とを含むGe-(Se,S)系カルコゲナイドガラスを作製した。これらの共有結合性ガラスでは、リジッドまたはフロッピ-というガラスの性質が、構成元素の平均配位数によって系統的に分類されるという特徴がある。 作製したガラスについて、様々な温度でのラマン分光測定を行い、ガラス転移点付近での過冷却液体およびガラス状態の構造について調べた。ガラス中の中距離構造秩序は、ガラス転移点以上の過冷却状態においても保存されていることが、ラマンスペクトルに現れている。ただし、過冷却状態では粘性が急激に急激に低下する。スペクトルの変化から、この粘性変化に対応する中距離構造クラスター間の相互作用の減少、結晶胚種の形成などの構造変化についての情報が得られた。これらは、熱測定によるガラス転移の観測では得難いものである。 また数10cm^<-1>以下〜100cm^<-1>程度の低周波数ラマンスペクトルから求められた振動状態密度は、周波数の巾乗の関数形を持つ。これらは巾指数の違いにより、低波数側からフォノン、ベンディングフラクトン、ストレッチングフラクトンに分類される。ただし、スペクトル中にベンディングフラクトン領域が観測されるか否かは、Ge-Seガラスの組成比と密接に関連していることが示された。この臨界組成は、ガラスネットワーク構造のリジディティーパーコレーションが起こるとされる組成(平均配位数2.4)にほぼ一致しており、理論との対応に興味が持たれる。
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