1.リラクサ-Pb(MgNb)O3(PMN)に関する成果 (1)中性子散乱法による構造の決定 PMNの構造を、原子力研究所の実験用JRR3号炉に設置された、粉末解析装置HERMESを用いて解析した。解析はReitveld法で行った。この結果、室温では平均構造は立方晶であるが、AサイトにあるPbイオンおよび面心にある酸素イオンが著しい不規則構造をとること、温度低下にしたがって三方晶相のクラスターが立方晶マトリックス中に発達してくること、しかし10Kという低温でも、三方晶の体積比は25%に過ぎないことを明らかにした。またSHG測定から、この三方晶クラスターは極性をもつ(すなわち、強誘電相)であることを明らかにした。 (2)電界のもとでの長距離秩序の発達 PMN電場を印加し、自発分極が現れる過程を複屈折を用いて詳細に観察し、オーダーパラメーターは大きな経歴依存性をもつこと、また低温では非常に長い緩和時間で発達することを明らかにした。 2.リラクサ-Pb(ZnNb)O3/PbTiO3(PZN/PT)に関する成果 (1)前駆現象の測定 X線回折法を用いて、格子定数の詳細な温度依存性を測定した。この結果、強誘電相転移点上の約80℃温度領域で、格子定数が熱膨張関係から変位した前駆領域があることを見出した。この領域の存在はまた複屈折の測定でも確認した。マイクロクラスターがこの領域で発達することを突き止めた。 (2)ヘテロ相の観察 PZN/PTは室温から強誘電転移点までの広い温度領域で、三方晶と正方晶が共存すること、このヘテロ相共存のため、どちらの領域も対称性が低下することを見出した。
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