研究分担者 |
小椎八重 航 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20273253)
石原 純夫 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30292262)
遠山 貴巳 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (70237056)
高橋 三郎 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (60171485)
小山 富男 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30153696)
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研究概要 |
本研究では共鳴非弾性X線散乱スペクトルの計算を,内殻ホールの軌道を含めたハバード模型に対する数値的厳密対角化法を用いた.a)一次元系:一次元絶縁体Sr_2CuO_3に対する共鳴非弾性X線散乱スペクトルを理論的に明らかにし,実験と比較検討を行った.b)二次元系:二次元反強磁性絶縁体Sr_2CuO_2Cl_2に対する角度分解光電子により,反強磁性体に導入されたホールのスペクトル関数の測定が行われており,交換相互作用程度のバンド幅を持つスペクトルが観測されている.このいわゆるZhang-Rice singletバンドの分散及びスペクトル強度が,t-J模型に次近接格子間の飛び移りを含めたt-t'-t"-J模型によって再現されることが数値計算によって示されている.しかしながら,上部ハバードバンドについては実験的にはあまり明らかになっていない.そこで本研究では3d電子系における長距離の飛び移りの効果が上部ハバードバンドを通してどのように共鳴非弾性X線散乱に現れるかを調べ,実験との比較を行った. 以上の研究により,一次元及び二次元銅酸化物絶縁体のエネルギー・ギャップの特徴が初めて明らかになった.高温超伝導は銅酸化物絶縁体に少量のキャリアをドープすることにより出現する.そのため,モット・ギャップの理解が不可欠である.本研究は,高温超伝導機構解明のための基礎を確立したものである.
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