研究概要 |
(1) CeRu_2Si_2は近藤温度が24Kで基底状態はフェルミ液体である。100K以上の高温ではCeの4f電子のスピンは局在しているが低温では遍歴的な準粒子になっている。この転移により結晶に大きな体積変化が生ずる。この2つの異なる電子状態間の温度による遷移を3d電子系のFe合金に見られるlow spin-high spin statesの2準位間の転移によるINVAR効果と対比させて研究した。 (2) 最近の重い電子系研究のトピックスとして非フェルミ液体的振舞いの原因とその基底状態の研究がある。非フェルミ液体的振舞いは常磁性と反強磁性相の境界付近で現れT=0の量子相転移の可能性が指摘されている。Ce(RU_<1-x>Rh_x)_2Si_2の基底状態は0.03<x<0.4がSDW,x>0.5が q(1/2,1/2,0)の反強磁性である。この物質は3つの臨界点をもつ利点がある。x=0.03ではフェルミ液体であり、q_3(0,0,0.35)の相関長は60Åである。x=0.03の臨界点ではT=0の相転移を示唆ミュオン・スピンの緩和の温度変化が得られた。他方、x=0.4と0.5では非フェルミ液体的振る舞いを示しμSRの実験では、微小磁気クラスターの揺らぎが観測されGriffiths相的な基底状態であることをしめした。 また非フェルミ液体的振舞いはRu,Rhのランダム分布のため磁気相互作用の競合が生じshort range orderの発達がないことがμSRにより示唆されている。Ce(Ru_<1-x>Rh_x)_2Si_2の非フェルミ液体を示すx=0.4,0.5等について相転移をT_N<0の領域にまで拡張したscaling理論により解析しT=0で帯磁率、比熱は発散傾向を示すが、転移温度はT_N=<0でありT=0で相転移がない事を示した。このscaling則による研究結果はμSRの結果を支持するものである。
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