研究概要 |
本研究では,(BEDT-TTF)_2Xと(DCNQI)_2Mの2つの物質系委についてキャリアード-ピングを試みるが、本年度は先ず物質合成ときそ物性評価、および^<13>CNMR実験に向けての準備を行った。 (BEDT-TTF)_2X系については,X=HgI_3,Hg_<2.89>Br_8,Hg_<2.78>Cl_8の3種類の試料を電解法で作成した。大きな単結晶試料は得られなかったが、微結晶状の試料が得られた。磁化率の測定により、得られた試料の主成分は目的とする物質であることが確かめられた。しかし、本研究でもくろんでいる単結晶NMR測定を行うためにはより大きな結晶が必要であり、現在この方向で試行錯誤している。一方,^<13>CNMR測定を行うべく,BEDT-TIFの中心2重結合位置にある炭素を^<13>C同位体で置換した分子を大量に合成した。大型単結晶育成条件が見出され次第、この分子を用いて試料作成に取り掛かる。 DCNQI)_2M系については、スピン-パイエルス絶縁体である(DMe-DCNQI)_2LiのLiサイトにCuを、ウイグナ-結晶絶縁体である(DI-DCNQI)_2AgのAgサイトにCuをドープした一連の試料を電解法で作成し、磁化率と電気伝導特性を調べた。それによると、両系ともCuの割合がある臨界値を越したところで基底状態が絶縁体から金属に転移することが明らかになった。この転移の微視的機構を明らかにする上で有効な^<13>C-NMR実験を行うために,DI-DCNQI分子のシアノ基の炭素位置を^<13>C同位体で置換した分子を合成した。 本年度購入した超電導磁石を組み込んだNMR測定用クライオスタットの整備を行った。^<13>C-NMR測定に向けての装備側の準備は整った。
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