研究課題/領域番号 |
09440145
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鹿野田 一司 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (20194946)
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研究分担者 |
永長 直人 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60164406)
河本 充司 お茶の水女子大学, 理学部, 助手 (60251691)
中澤 康浩 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (60222163)
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キーワード | 分子性固体 / 金属-絶縁体転移 / 電子相関 / 有機超伝導体 / モット絶縁体 / キャリアードーピング / ウイグナー結晶 / NMR |
研究概要 |
κ-(BEDT-TTF)_2Xと(DCNQI)_2Mの二つの物質系についてキャリアードーピングを試み、金属-絶縁体転移あるいは超伝導-絶縁体転移に係わる新しい電子物性の発掘を目指している。本年度は、前者の物質系について単結晶の育成と磁場誘起超伝導-絶縁体転移の実現に成功し、後者の物質系については前年度作成した試料の^<13>CNMR実験を行い、さらに新たなドープ系試料を作成した。 まず、κ-(BEDT-TTF)_2X系については、天然ドープ系X=Hg_<2.89>Br_8,Hgっ_<2.78>Cl_8の2種類の試料の単結晶育成を電解法で前年度に引き続き試みた。電流値や環境温度、電解質濃度をパラメーターにして試行錯誤した結果、両物質ともに電気伝導度測定に耐えうる単結晶の育成に成功した。特に、X=Hg_<2.78>Cl_8については10mgに迫る大型結晶を得た。これにより、単結晶の磁化率測定とNMR実験が可能になった。一方、X=Cu[N(CN)_2]Brは超伝導体であるが、部分重水素化によって絶縁体相に近づくことが分かっている。これに磁場を印加する事により、超伝導状態から高抵抗状態(おそらく反強磁性絶縁体相)へ相転移することを見出した。 (DCNQI)_2M系については、(DMe-DCNQI)_2LiのLiサイトにCuを置換した一連の系について^<13>C-NMR測定を行なった。電気抵抗測定によりCuがある濃度を越したときに絶縁体から金属へ転移する事がわかっていたが、NMR緩和率が低温でkorringa則を満たすことで微視的にも金属状態に有る事が確かめられた。一方、ウイグナー結晶絶縁体である(DI-DCNQI)_2AgのAgサイトに2価イオンであるZnとBaをドープすべく電解法で試料作成を試みた結果、Baは低濃度域でドープされているが、Znについては結晶を得ることができなかった。Ba低濃度の試料は、低温まで絶縁体のままであった。
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